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久々訪れた岩手へは一人旅。マイレージ利用で伊丹より空路花巻へ。機内から見た一面の銀世界。今宵は「雪見風呂だな」と気持ちは高ぶるのだった(笑)
豊沢川畔に建つこちらの宿は、規模が大きく3つの棟(他、白水閣・自炊部)に分かれていて「菊水館」のみ橋を渡った対岸に位置するのだ。
もっと深い渓谷にある一軒宿だと思っていたが、実際そうでもない。連泊でお世話になった菊水館だが、年季の入った木造建築の2階屋で湯治宿そのものといった佇まい。
記帳を済ませ、案内されたのが、茅葺き屋根の棟。まっすぐに延びる廊下の左手には、共同の洗面所やシャワートイレを設け(全ての客室)右手に10室程の客間が並びにあるといった具合だ。
主に6畳タイプ(8畳あり)で部屋鍵、金庫、テレビ付き。
通されたのは8号室。ガランとした室内は、古く、狭く、薄暗く、壁も薄い。思い描いてた通りの客間だ。火鉢を置いた広縁で一息つく。窓の外の雪を見てたら雰囲気も違ってくるのだ。
ただ、全ての客室に踏み込みがなく、履物は廊下で揃えるのだ。
2日目は2階の松5タイプでお願いしていた。一番グレードの高い客室だそうだが、料金は安いのだ。8+6畳からなる室内は、多少の老朽化が見受けられるものの、趣きのある落ち着いた佇まい。
雪見障子も大活躍。L字型の広縁には、テーブルセットが2つ。
窓越しに見た雪は、しんしんと降り続いている。そこには、静寂の中、しっとりとした冬の風情が感じられた。こちらは、お勧めの客室ですよ。
菊水館にある「南部の湯」は、唯一、木造りの浴室。私に少し熱めの湯だったが、木の香りに包まれての湯浴みは良かった。(ガラス戸入りなので外の景観はなし)
雪化粧に染まった曲がり橋。行きかう浴衣姿の吐く息も白い。湯上り後でも寒い寒い。凍えながら向かったのが、自炊部にある「大沢の湯」だった。
先客に若いカップルも入っていた混浴露天だ。開放感のある岩造りの浴室で、ツルツルっとする湯は、肌触りがとても良い。どっぷりと浸かりながら、川べりに移動。雪の舞う中での雪見露天は最高の癒しとなった。やはりこちら側からの眺めはいい。茅葺き屋根には雪が積もり、裏手の山とのコントラストも良し。脱衣場はオープン、女性のみ専用有り。
同じく自炊部の半地下にある「薬師の湯」はレトロな浴室。タイルや湯船など昔の銭湯のような造り。浴室内に響く乾いた音も良し、ぬるめの湯なので長湯に適していた。
出たところに売店や客間がある。
少し迷路のような自炊部の廊下を矢印通りに進み白水閣へ。やはり新館だけあって様相はガラっと一変、端正な佇まいである。「豊沢の湯」には清潔感がある。湯煙りが凄くて周りがよく見えない(笑)私に少し熱めの湯は、恐らく循環だと思うが、塩素臭はしない。こちらもガラス戸がはめられてたのと湯気とで外の景観はよく分からなかった。脱衣場は清潔だし、アメニティを含め、こちらには何でも揃ってるように思えてくる(笑)身だしなみを整えるのも、身体を洗うのもこちらだった。
夕朝食は帳場近くの大衆食堂のような所で戴いた。最初からドンと並べられた料理だが、刺身以外は山の幸を使ったヘルシーな内容。特筆すべきものはないけど珍しく完食(笑)初日はほぼ満席、2日目は5組程。案外人気宿なのかな。
こちらでは、静かにかしこまって戴くような所じゃない。周りはガヤガヤ、椅子をガタガタ、唾も飛んだであろう大きな咳払いの連続などなど。テレビがあるから気にもならなかった(笑)
ほのぼのとした宿だった。仲居さんも好印象。鉛温泉へ立ち寄り湯に行くなど、マイペースで過ごせた3日間はあっという間だったけど十分に英気を養えた。1人が参考にしています