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出雲市多伎町の小田川沿いに佇む、大正11年(1922年)創業の小田温泉の一軒宿。木の温もりを感じる現代数寄屋造りの2階建ての建物で、客室数わずか6部屋という小さな宿でもあります。一度泊まってみたかったので、日曜日に一泊二食付で利用して来ました。
この日は、2階の7.5畳和室(トイレ共同)に宿泊。窓から、川のせせらぎを望む景色です。浴衣に着替え、早速温泉へ。
玄関から右手奥に廊下を進み、階段を下りた突き当たりに男女別の浴室があります。左側が、男湯「飛天乃湯」。棚に籐籠が並ぶ脱衣場には、ドライヤーも完備。湯気抜きのある高い天井の浴室に入ると、右側に3人分のシャワー付カランがある洗い場。アメニティは、ナチュラル系です。
左側に5人サイズの白磁に藍の染付タイル張り内湯があり、無色透明の温泉法第二条該当泉(源泉名: 小田温泉)が満ちています。メタケイ酸・メタホウ酸の項で該当。泉温18.3℃を、加温して41℃位で供給。PH7.2で、やや肌がスベスベする浴感です。循環・消毒ありですが、光触媒による滅菌のためか消毒臭はしません。湯口の湯を口に含むも、無味無臭。浴槽の見事なタイル画は、漢文や天子遊行が描かれた外側だけでなく、内側にも全て描かれています。書や美術に優れた才能を持つ、ご主人の作品なのだとか。内側の山水画、鳳、怪魚、天女が舞う姿に見とれつつ、まったりと湯浴みを楽しめました。
夕食は、別棟の茶寮「清泉亭」で。小上がりの席は、衝立で仕切られています。お品書き付で、酒は宿の名物「孟宗酒」を注文。切り立ての青竹に地酒を入れ、直火で燗をしたもので、竹の香が芳しい美酒です。先附は梅味噌小芋・茄子・網茸に始まり、造里の鯛・勘八・バットウ(マトウ鯛)が新鮮で美味い。湯葉も、クリーミー。温物は蓮根饅頭で、焼物の黒ソイ塩焼は焼立てで。小鍋は豚肩ロースや白菜・水菜・茸を琥珀美味だしで、留肴は鯵檸檬〆でした。食事に御飯、留椀に赤出汁、香物はジャコの佃煮、甘味はメロンを。量は程々ですが、一品一品が美味しくて酒がすすんでしまいました。
翌朝は、男女入替わりとなった右側の浴室「龍泉乃湯」へ。昨夜より若干広い浴室で、5人分のシャワー付カランがある洗い場にはアメニティもあります。8人サイズの青磁タイル張り内湯があり、湯温はこちらも41℃位。こちらは絵が描かれておらず、色違いのタイルを交互に組み合わせた浴槽です。でも、よく見ると透し彫りも。珍しい青磁タイル張りの浴槽で、朝風呂を満喫できました。
朝食は、昨晩と同じ茶寮「清泉亭」の中庭を臨むテーブル席で。鯵の干物主菜の和定食ながら、湯豆腐やちりめじゃこで御飯がすすみます。しじみの味噌汁はやっぱり美味しく、茶碗蒸し付き。デザートは、地元の特産品である無花果のコンポートで、こちらも満足しました。
素足で寛げる静かな宿で、地元の食材に拘った旬の美味い料理を味わい、美しい染付の浴槽で温泉に浸かって、のんびりと疲れを癒す。料金もそんなに高くないので、違う季節にまた訪れてみたくなる、出雲の佳宿に数えられる一軒ではないかと思います。
ラドン含有量: 3.55×10-10 Ci/kg
主な成分: ナトリウムイオン143mg、マグネシウムイオン9.5mg、カルシウムイオン58.6mg、ストロンチウムイオン0.5mg、マンガンイオン0.2mg、鉄イオン1.0mg、フッ化物イオン0.2mg、塩化物イオン171mg、臭化物イオン0.5mg、硫酸イオン148mg、炭酸水素イオン211mg、メタケイ酸74.8mg、メタホウ酸5.1mg、遊離二酸化炭素22.0mg、成分総計0.85g20人が参考にしています