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雲仙が日本初の国立公園に指定された翌年、昭和10年(1935年)10月10日午前10時にオープンしたクラッシックホテル。赤い屋根と丸太の骨組み、溶岩石の壁が印象的なスイスシャレー様式を取り入れた山小屋風の建築で、日本の在来建築にハーフティンバー様式を組み合わせて設計されており、国の登録有形文化財にも指定されています。平日に、一泊二食付で利用して来ました。
エントランスに足を踏み入れれば、重厚かつノスタルジックな館内。各所に配されたレトロな調度品や照明に圧倒されつつ、この日宿泊する2階のバス・トイレ付のダブルルームへ。室内は十分な広さで、落ち着いた色調で統一され、バスルームには猫足バスタブを配置。窓からは、裏山を望む景色です。
早速、部屋着(パジャマ)に着替え、待望の大浴場「硫黄泉浴室」へ。玄関からだと右手へ進み、食事処の前を右折。階段を少し下りた先に、男女別の大浴場があり、男湯は右側です。コインレス鍵付ロッカーが並ぶ脱衣場には、タオルやドライヤーももちろん完備されています。
ドーム型の天井、アールデコ調のモザイクタイル壁、ステンドグラスやアーチ窓が特徴的な美しい浴室。本来円形のドーム天井は、半分を女湯とし、男女シンメトリーな造りとなっています。単に美しいだけではなく、結露した水滴は天井を伝い壁際の柱部分から外へ流れ出るように設計されているのだとか。
手前にライオンの湯口のかけ湯槽、左側に6人分のシャワー付カランと1人分のシャワーブースがある洗い場。アメニティは、マーガレット・ジョセフィン製です。
窓際に8人サイズの石造り内湯があり、うっすら濁った透明の酸性・含鉄・含硫黄ーアルミニウムー硫酸塩泉(源泉名: お糸地獄)が、かけ流しにされています。泉温94.5℃を、加水して42℃位で供給。PH1.9ながら、肌がスベスベする浴感です。加温なし、循環・消毒なし。湯口の湯を口に含むと、弱硫化水素臭がして酸っぱい。
続いて、外の露天風呂へ。4人サイズの石造り浴槽で、湯温はこちらも42℃位。囲まれていて、坪庭の木々と、柵越しに木立を眺める景色。早めに到着したので、貸切状態でがっつり硫黄泉を満喫できました。
湯上りには、浴室前の無料マッサージチェアでまったり。一度部屋に戻り、服に着替えて食事処「燿亭」へ。夕食は、お品書き付の懐石料理を頂きます。テーブルに着くと、羽織の形に折られた布巾が可愛い。
先付はうるいの木の芽味噌に始まり、前菜は橘湾産の鯛のこ・コノシロの酢味噌和え・赤にし貝・烏賊のふき詰・鮃のふくさ焼・そら豆と海老真丈が出ます。飲み物は、長崎の焼酎飲み比べセットをロックで。吸物は桜鯛真丈の筍わらび添えと続き、御造里は島原近海の地魚盛合せと称し、橘湾産の鯛・鮃・コチと五島産の鮪、白身魚用に塩昆布を添えて。新鮮で美味しく、焼酎がグイグイいっちゃいます。煮物は、雲仙グリーンポークの角煮の菜の花添えを。また、「島原半島の贈り物」と題された一品は、鮑焙烙焼か団扇海老塩焼か長崎牛石焼のうち、好きな物を1つ選択する趣向。この時は、団扇海老をチョイス。一匹半出て来て驚きましたが、しかも子持ちで二度びっくり。卵がプチプチして旨い。揚物は、渡り蟹の湯葉巻。御食事はまた、千々石の棚田米か地魚茶漬を選択できますが、お茶漬けをチョイス。雲仙茶と出汁の鮃茶漬で、香の物付でこちらも美味。水菓子に島原かんざらしと季節の果物が出て、最後まで美味しくお腹一杯に。珍しい地の食材も多く、とても満足できました。
翌朝も朝風呂を堪能して、朝食会場のダイニングルームへ。クラシカルなレストランで、和食か洋食(アメリカン)を選びます。この時は、洋食をチョイス。野菜と果物のスムージー、サラダ、野菜のブイヨンスープ、冷皿に雲仙ポークの生ハム・サーモン・チーズが並びます。玉子料理は選択制で、追加料金がかかりますが太陽卵を使ったエッグベネディクトを注文。初めて食べたけど、美味しかったー。デザートのフルーツとコーヒーで、満足しました。
いつか一度は泊まってみたかった宿でしたが、素晴らしい建物とサービス、美味しい食事に、小さいけどかけ流しの硫黄泉を堪能出来る、リピート必至の洋式ホテルかと思います。
主な成分: 水素イオン12.7mg、ナトリウムイオン14.9mg、アンモニウムイオン29.1mg、マグネシウムイオン13.6mg、カルシウムイオン55.8mg、ストロンチウムイオン0.1mg、アルミニウムイオン58.7mg、マンガンイオン0.7mg、鉄(II・Ⅲ)イオン71.6mg、フッ素イオン0.2mg、塩素イオン15.7mg、ヨウ素イオン12.0mg、硫酸水素イオン469.5mg、硫酸イオン1107mg、硝酸イオン0.2mg、硫酸14.9mg、リン酸1.4mg、メタケイ酸442.3mg、メタホウ酸2.9mg、遊離二酸化炭素811.3mg、遊離硫化水素2.0mg、成分総計3.145g18人が参考にしています