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関金温泉に佇む、昭和7年開業の老舗旅館。現在は閉館していますが、6年ほど前の夏に日帰り入浴しました。電話をしてから行ったのに、玄関にはカーテンが…。あれ、やってんの?と思いつつガラス戸を開けたら、お年をめした女将さんが出て来られました。ビックリしたのは、帳場に積み上げられた宿帳とおぼしき、古びた帳簿の山。入浴料800円を渡し、右奥へ廊下をずぅ~っと進んだ先にある、外の露天風呂へ。庭園の中にある、二連の屋根付き木造り浴槽。透明度の高い無色の単純放射能泉が、サラサラとオーバーフローしています。湯温は、ことのほか適温。そして肌触りの良い、極上の湯がそこにはありました。貸切状態でまったりといきたいところでしたが、待っていたのはアブ数匹。果敢にアタックしてくる彼らを相手に、桶とタオルで激しく応戦。温泉の効能か、運動したせいかよくわからぬまま、汗だくで服が肌にひっ付きつつ、宿を後にしました。まるでついこの間の事のように思い出す、あの露天風呂。また浸かれる日がいつか来る事を信じて、今も関金温泉を訪れる度に、宿の様子を眺めています。
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