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上天草市の弓ヶ浜温泉にある少々レトロな温泉旅館です。国道から細い住宅街の道を数キロ進むと、周囲には何も無い場所に一軒宿の旅館が存在していました。ここは赤湯と白湯の2本の源泉を持つことが有名で、浴室の扉を開けるとまず2つに仕切られた無色透明な白湯が目に入りました。ここはとりあえずパスして、いかにも後から増設したと思われる奥へ向かう通路を進むと、浴槽から床にかけて多量のクリーム色の析出物で覆われた赤湯がありました。平成8年に湧出した当初はお湯の色が真っ赤であったことからこの名が付けられたそうですが、現在では少し緑色掛かった濁り湯で、表面には膜を張るように成分の結晶が浮いていました。実際に入浴してみると、湯温はやや温めで肌触りは見た目と同様のギシギシ感、大分県の長湯温泉にも似ているようで少し異なる浴感でした。更に外に出ると露天風呂から続く手掘りの洞窟風呂があり、この洞窟が予想以上に奥まで深く、よくここまで掘ったものだと感心してしまいます。この露天~洞窟風呂にも赤湯がたっぷりと掛け流されており、底は堆積物ででこぼこしている上にサラサラの沈殿物が多量に沈んでいました。最後に締めで白湯に入ったところ、体感で約30℃、ツルツル感があり実に心地良くウトウトとしてしまいました。この白湯は昭和52年に湧出したようで、当初はおそらくこの源泉一本で営業していたと思われますが、これだけでも十分なレベルです。とにかく、何もかもが個性的で一度立寄ったら忘れることが無い温泉です。
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