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世界遺産である石見銀山の外港として栄えた湯泉津温泉の中心地に佇む、「泉薬湯 湯泉津温泉元湯」と双璧をなす明治5年に開業した共同浴場。かつて日本温泉協会の最高評価「オール5」を取得しており、今も誇らしげに温泉利用証が掲示されています。平日の午後、およそ7年ぶりに利用して来ました。
左側に建つ、温泉街でも一際目を引く木造洋館は、こちらの旧館です。震湯カフェ&ギャラリーとして改装され、大正8年に建てられた建築意匠や調度品を眺めながら、食事や喫茶を楽しめます。
その右側の建物が、目指す温泉の薬師湯。丸い展望サンルームが特徴的な、クリーム色の3階建鉄筋コンクリート造りの外観は、まるで昭和の映画館のようなレトロな佇まいです。
入口は男女別ですが、中で繋がっています。入浴料350円(2018年7月~450円に改定)は番台で。男湯は、2階へ上がる階段の左側です。棚とコインレス平鍵付ロッカーが並ぶ脱衣場には、ドライヤーなし。浴室に入ると、左右に3人分のシャワー付カランと2人分のカランがある洗い場。共同浴場なので、石鹸などのアメニティもありません。
中央に6人サイズの小判形石造り内湯があり、うっすら茶褐色に濁ったナトリウム・カルシウムー塩化物温泉(源泉名: 薬師湯温泉)が、源泉かけ流しにされています。建物裏手のわずか2~3mの所に自然湧出し、泉温45.3℃の源泉が加水・加温されることなく浴槽へ供給。されど、「泉薬湯」ほど熱過ぎることもなく、43℃強位といった湯温。PH6.3で、やや肌がスベスベする浴感です。ナマズの湯口から注がれ、口に含むと鉄臭がして旨じょっぱい。浴槽の縁や床は見事なまでにこってりと、温泉成分の析出物で茶褐色にコーティングされています。窓を開けると、裏山の景色。先客が上がられた後、しばらく貸切状態でまったりできました。
湯上がりに、2階のラウンジで無料のコーヒーを頂きつつ一休み。また、3階のガーデンテラスから眺める赤い石州瓦屋根の町並みは、温泉街として重要伝統的建造物群保護地区に全国で唯一選定されているのだとか。ノスタルジックな温泉街に夕暮れが迫るにつれ、またいつか絶対に来たいなと旅情をかきたてられました。
主な成分: リチウムイオン1.8mg、ナトリウムイオン1710mg、マグネシウムイオン84.4mg、カルシウムイオン433mg、ストロンチウムイオン12.3mg、マンガンイオン0.4mg、鉄イオン4.1mg、フッ化物イオン1.0mg、塩化物イオン2660mg、臭化物イオン8.6mg、沃化物イオン0.7mg、硫酸イオン965mg、炭酸水素イオン941mg、メタ亜ヒ酸2.3mg、メタケイ酸118mg、メタホウ酸35.3mg、遊離二酸化炭素484mg、成分総計7.53g39人が参考にしています