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湯西川温泉の集落からしばらく山奥に向かうと、右側に古めかしいお屋敷があります。上屋敷・平の高房。広大な敷地に幾棟もの建物が、山のほうに段々になっていますが、部屋数は意外と少なく、十六室程度。
まず素晴らしいのは泉質。玄関脇にある露天も、内湯に付属している露天も、貸切用の小型の露天もすべて源泉百パーセントかけ流しです。アルカリ性(Ph8.37)の単純泉で、無色透明、無味で、わずかに硫化水素臭があります。どの露天でも、奥伊豆の観音温泉に似たヌルヌル感がありました。内湯(大浴場)のみ、一部加水、循環式でした。
囲炉裏端での砦料理もまた、なかなか素晴らしい。最初に出てくる果実酒、手打ちソバから、最後のほうのケンチン汁まで、どれも手作りでおいしい。全体の味のバランスもとれていると思いました。
とくに感心したのは、女将さんのご挨拶とお料理説明。言い伝えを淡々と語ったのです(いかにも偉そうに「伝統」「老舗」を持ち出す人が多いなかで、実に好感がもてます)。おそらく七十すぎと思われますが、凛として、従業員の先頭に立って仕事をされていました。宿の隅々まで掃除が行き届いていました。
肝心なお値段ですが、それが信じられないほどリーズナブル。紅葉シーズンにはさぞかし混むことでしょう。1人が参考にしています