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青木村役場辺りで田沢温泉へ向かう道を分け、田畑の間をなおも進むと、左手の山裾にごく小さな集落が見えてきます。「信州には著名な温泉が数多いが、沓掛温泉ほど四季とりどりの美しさに恵まれた処は無い」と田山花袋が褒めたという、沓掛温泉のある集落です。おもとや旅館はその中の1軒で、小倉の湯のすぐ前にある宿です。
今回、宿泊でお世話になりました。玄関は改築されたのか小奇麗な印象でしたが、案内された部屋はかなりくたびれた感じのする部屋でした。けれども手入れは行き届いて、気を遣わなくていい分、ゆっくり寛ぐことができました。
荷を解いて、何はともあれ、お風呂へ向かいました。お風呂は男女別に一つずつあるだけです。それもこじんまりしています。男湯の方だけ浴槽が二つあり、小さいほうには加熱した温泉が、大きい方には源泉そのままが注がれています。いずれも湯舟の縁からかなりの量のお湯が溢れ出ています。12月末の寒い時季でしたが、ぬる湯の方も冷たくはなく、極楽気分を味わうことができました。この辺りは井戸を掘っても温泉が出てくるようで、カランの湯も温泉です。お湯は無色透明で、それほど強くはありませんが硫黄のにおいがします。残念なのは、源泉そのままを注ぐ浴槽が男湯だけにあって、女湯にはないことです。ただし、混みあっていない時は男女を入れ替えてもらえるようなので、ご主人に申し出てみてください。
さて、お風呂のあとは夕食です。夕食は泊まった部屋とは別の個室でいただきました。煮物や茶碗蒸しなど、どれをとってもおいしく、豪華な料理はありませんが、ひとつひとつの料理に心がこめられている印象でした。お腹も気持ちも十分に満たされました。
日帰り入浴も受け付けていますので、お風呂だけも入れますが、ぜひお泊りになって、極上のぬる湯を堪能なさってください。ちなみにここは秘湯を守る会の会員宿です。
おもとや旅館入湯日:2007.12.235人が参考にしています