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投稿日:2010年9月3日
北海道放浪10.「糠平温泉 元祖湯元館」 (糠平温泉 元祖 湯元館(やすら樹荘))
イーダちゃんさん
[入浴日: 2010年8月9日 / 1泊]
55.0点
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旅立ってから9日目、北海道に上陸してから8日目---2010年8月9日の午後のこと、十勝の山奥の混浴露天「鹿の湯」で野趣たっぷりの湯浴みを堪能したイーダちゃんは、ルート273を再び北上して、大雪山連峰の中央部にむけ愛車を駆っておりました。
天気は晴れ。ただし、東の空の雲がやや気にかかる、76%ほどの晴れって感じ。
ひと気のない然別湖を見物して、さらに奥地にある糠平湖へ。
糠平湖はこんな広大なのに人造湖なんですってねー 全然判りませんでした。湖畔からいくらか離れた緑深い道の一角に、お宿が6、7軒かたまって建っています。これが、糠平(ぬかびら)温泉郷。
イーダちゃんは温泉郷のいちばん突端にある、こちら「元祖 湯元館」さんに宿をとることにしました。荷物を降ろし、玄関に向かいます。
「こんにちはーっ」
しかし、返事はありません。
僕のあとから旅のライダーさんがやってきて、おなじように宿の奥に呼びかけてみました。
……しーん……
1,2分待っていたんですが、動きなし、ライダーさん、諦めてほかにいっちゃいました。
それでも気長に待ってたら、ようやく宿の奥からおカミさんらしき方が、あらあらあら、お待たせしちゃいました? と、のんびり笑いながらやってこられました。
ホッ。交渉はすぐさま成立。素泊まり3800円で二階の一室に一泊することとなりました。
部屋でしばしのんびりして、それからお風呂へ。こちらのお風呂の売りは、内湯奥の扉を抜けて、石段をちょっと下ったとこにある、沢が間近の石作りの混浴露天! 露天裏にはそう大きくはないものの、ちゃんとした打たせ湯なんか二、三本あってね、それはそれは落ちつけるお風呂となっているのでありました。
湯質は、うーん、ナトリウム・塩化物泉? でも、なんというか単純泉に近い感触です。透明で適温の素直な湯。舐めても酸っぱくないし、塩辛さもそう感じない、沢音に包まれて、緑のにおいに囲まれながら、いつまでも浸かっているのがグー (^.^;> ええ、そんな風な長湯のきくお風呂でしたねー。
こちらのお宿はライダーハウスとしても有名らしく、夜になるにつれ次々と新しいライダーさんが到着するんです。で、雰囲気もだんだん賑やかになっていき……
イーダちゃんはわりとひとなつっこいほうで、知らないひとに声掛けしたりするのも平気なんですが、どうやら旅を続けているとひと嫌いになる周期というのが巡ってくるらしく、ちょうどこの夜がそれにあたるような感じでした。
なんか、ふいに誰とも会いたくないの。
話したくなく、視線を交わしたりするのもちょっとイヤ。廊下でひとに会うと、いつもならにこやかに「こんばんは」とやるんですが、この夜に限っては早々と速足で部屋に逃げ帰っちゃう。
とゆーわけでこの夜のイーダちゃんは巣籠りのリスみたいに部屋のなかで小さくなって、息をひそめてじっとしていたんですが、そうすると今度は東京の会社末期でのネガティヴな記憶の数々が次々と記憶の淵から蘇って、走馬灯のように頭の隅をよぎっていくのです。
「あ¨ーッ、くそーっ!(声にならない声で)」
なんか、ひさびさ布団のうえで足をバタバタさせて、悶絶しちゃいました…。(x.x;>
いや、でも誤解なきよう、こちらのお宿にそーゆーのは関係ないんですよ、こちら「元祖 湯元館」さんはいいお宿、素直なお湯の混浴露天はとってもお薦め。
一夜明けて朝の光に当てられたら、それらのネガティヴな破片は幻みたいに霧散しちゃいましたけど、あの夜のほろ苦くて切なかったあの独自の感触はいまだにちょっと忘れられない、イーダちゃんの旅の記憶に長く残るふしぎな一夜となったのでありました。5人が参考にしています