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住宅街の中にあって、建物の外観は風格があり、「灘温泉」と書かれた大きな看板が目を引く。
震災によってこの灘温泉も被害に遭われ、震災後に温泉の掘削に成功し、平成11年にリニューアルオープンしたそうである。
建物外観はほぼ無傷であったため、昭和7年の創業当時のままとか。
漢数字が並んだ入り口の扉も創業当時から震災時まで実際に使われていた脱衣箱を再利用しているとか。歴史を感じ、趣のあるおしゃれな扉である。オーナーの方のさまざまな想いがこの扉に込められているのであろう。
温泉を使用している浴槽は内湯中央の丸い大きな浴槽と奥の方の小さな源泉浴槽、露店風呂の浴槽の3つ。ここの温泉は湯の色が茶色いのでどの浴槽に温泉が使われているかすぐわかる。泉質は程よいヌメリ感と金気臭がある浴感良好な温泉である。
手前には白湯のジェットバスや電気風呂の浴槽がある。白湯ではあるが、地下水を使用しているという表記があった。
源泉浴槽は人気があり、常に2人誰かが入っている状態。浴槽が小さいので2人入ればいっぱいになる。足を縮めて無理をすれば3人入れるだろうがこれでは落ち着かない。浴槽が空くチャンスを他の浴槽に入りながら窺うが、空いたと思えばすぐに誰かに先を越されてしまう。スーパーのレジのように浴槽の前で順番待ちする訳にもいかないので実にはがゆい。やっとの思いで入ると、32度くらいのこのお湯は、入った瞬間は少し冷たく感じるが、慣れてくると心地のいい感覚に変わってくる。冷温交互入浴するには冷たすぎずちょうどいい感じの温度である。人気があるのもうなずける。
露店風呂はこぢんまりしており、10mくらいある高いフェンスがあった。なぜこんなにフェンスが高いのかと思って上を見ると隣に建つ新しい高層マンションが目に入った。フェンスには後から付け足したような形跡があったが、このマンションのせいで目隠しのために新たに設置されたのだろう。
露店風呂は打たせ湯があるがこれが非常に強力だ。どんな頑固な肩こりも一発で解消するような強力さである。
浴場内には温泉についての説明や入浴の仕方、注意書きなど手作りと思われる掲示物がたくさんあり、温泉の使い方など見ても利用者に存分に温泉を楽しんでもらおうという店の意図が伝わってくる。利用者の立場に立った親切な店の姿勢を高く評価したい。0人が参考にしています