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吉井川に架かる奥津橋のたもとにある河原の露天風呂。そもそもが洗濯場であるため湯温は低く、冬場はとてもではないが入浴できない。雪景色を見ながら手を浸けるにとどめた。夏場なら丁度良い湯温であろうが、すこぶる開放的で、橋から至近距離、丸見えを覚悟せねばならない。恥ずかしさは、湯原の砂湯や三朝の河原露天風呂の比ではない。
寒いため洗濯場を兼ねた内湯に入浴してみた。まことに素朴な共同湯である。お世辞にも綺麗な建物とは言い難く、あちこち壁が崩れているような状態、脱衣場と浴室の区分はなく、ロッカーなんぞあるはずもない、脱衣棚があるのみ。
手前に洗濯槽があり、長方形の浴槽にぬる湯が注がれている。奥には下湯と上湯、下湯はすこぶるぬるく、上湯には適温の源泉が注がれており、無色で微かに硫化水素臭のする清明な湯である。
入浴者はまづ下湯に浸かるのが基本であるらしい。下湯は洗濯のすすぎも行える浴槽であり、若干の汚れもあるが、ぬる湯にはいつまでも浸かっていられるほど快適である。近場の循環湯に入浴後すぐにここに直行したため、源泉の良さを実感できた。肌触りが両者全く異なる。
上湯から順番に湯が下がってゆくように設計されており、上湯浴槽の淵に源泉注ぎ口がある。ここから湯を汲んで持ち帰る地元の人もいた。アルカリ性単純泉ゆえに、癖がなく飲みやすい。肌触りも実に柔らかく、美人の湯と宣伝されているのもうなずける。ただ、強度のぬめり感等の個性は薄い万人向けの優しい湯だ。
このような温泉に無料で入ることができるのは有難い。浴室は狭く、綺麗なものではないが、良質の湯に浸かりながら地元の人と話をするのも良かろうと思う。ただ、男女混浴で、脱衣場もすこぶるオープンでありますので、混浴に慣れていない人は躊躇するかもしれませんが。
奥津温泉に来られた温泉好きの人は、一度は入浴すべきでしょう。それだけの価値はあります。素朴な共同湯は実に良いものです。0人が参考にしています