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南アルプスの鳳凰三山の登山口という人里離れた木立のなかの一軒宿です。ぽん太は十年以上前に、下山してきて入浴だけさせてもらったことがあり、独特のたたずまいに魅せられていつか泊まりたいと思っていたのですが、こんかいやっと実現しました。
2003年に韮崎インター近くから新しく舗装道路が開通したそうです。そんなこととは知らないぽん太は、昔ながらの北からの林道から行ったのですが、すれ違いもできないダートが一時間近く続くのでお勧めできません。お越しの際は、ホームページなり、宿に直接電話するなりして、道をよく確認するようご注意下さい。
建物は昭和25年に建て替えられた比較的新しいものですが、母屋は明治3年築の元の建物の木材を使って復元したもので、障子や丸窓がとても美しいです。実際に宿泊したのは隣りの山荘風の建物でしたが、こちらも一見簡素な造りながら、プロポーションに建築家の美意識が感じられます。もちろんテレビはありません。
お風呂は鉄平関を敷き詰めたこじんまりとしたもの。緑礬泉のお湯は無色透明ながら、鉄の味がします。泉質の表示は見つかりませんでした。朝風呂に入ると木漏れ日が差し込んでとてもきれいです。
食事も簡素ですが、地元の食材を生かしたおいしい料理で、志野焼などの食器も味わいがあります。おでんもおいしかったですが、暑い夏なので、地元の食材の天ぷらのほうがよかったかな?
木立に囲まれ、独特の静けさと美意識に貫かれた秘湯です。ぽん太は禅宗の永平寺を思い出しました。温泉で飲んで騒ぎたい人には不向きですが、日常から離れて自然のなかで心を遊ばせたい方にはお勧めです。お湯にもうひとつ特色があれば……で4点です(2006年8月宿泊)。12人が参考にしています