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中国の旅の三日目、お昼に湯原温泉の砂湯を楽しんだイーダちゃんは、国道をすーっと愛車で湯原ICと逆の方に下り、真賀温泉境を目指しておりました。
雨はぽつぽつ。相変わらずの降りなり。なんだ、今日はもうずっとこのままなのかなあ、なんてややブルーになりかかった頃、真賀温泉にご到着。
おっと。慌ててブレーキング。山肌に小さな旅館が3,4軒並んでいるだけみたいに見える、地味な、超地味ー! な温泉地です。
細い石段を登り、真賀温泉の建物内に乗りこんでみませう。
「ごめんくださ-い!」
「はい。お客さん、どちらの湯に入られます?」
「え-と、幕湯に・・」
幕湯とはご存知の通り、かつての殿様があまりの名湯のため、藩の暖簾をかけて独占したほどのお湯であります。ガラス戸をがらりとやって中に入ると、かんたーんな着替の棚、あと薄暗い、(混浴のため、わざと明かりは絞っているとあとで聞きました)普通の大きめの家庭の浴場サイズのお風呂がひとつ見えました。
「こんにちわー」
先客のあんちゃんに一言挨拶、いつものように掛け湯して、ぽちゃんとお湯入りすれば、
震えました(x。x)
温かい。そして、なんて柔らかさ! こんな柔らかい感触のお湯は産まれて初めてです。なんだろう、入っただけで全身にじわーっと広がる、この暖かな安心感は。心の底までまったりするまでものの5分もかかりませんでした。
湯気、湯気。ゆらゆら。
そしてときどきあぶく。幕湯って足元涌出なんです。
あまりの心地よさに阿呆のように陶然としてると、先客のおにいさんとなんとなく会話が始まりまっていました。おにいさんは奈良発の温泉好きのライダーさん。温泉の話に花が咲くうち、このおにいさんが九州・別府の「別府温泉保養ランド」の熱烈なファンであることがひょんの弾みに分り、僕も今年の3月におなじ温泉にいったんですよと話をすると、今度はおにいさんのほうがびっく---この奈良のライダーおにいさんは別府保養ランドの湯の底の岩で足の裏を深く深く切り、まさに血まみれとなり、宿に絆創膏を貰いにいったら、そんなもんないと風呂の泥湯を足の傷に無理矢理刷り込まれたそうです。ほとんど口あんぐり状態で、化膿したらどうしようか、とか思っていたそうなんですが、翌朝になると傷は見事に塞がっていたそうです!---もう、そんなこんなで各地の温泉談義に話は弾みまくり、僕はもうほとんどくたくたに湯だってしまって・・・
どれ、ちょっとお湯からあがってちょっと腰かけるかと、洗面器を逆さにして腰かけてみると異音がバリッ。
「あー、やっちったー!」
「ですねえ・・」
湯上りに十字の形に底の割れた洗面器をもって、番台のおじさんに謝りにいきました。
「割れた? なんだって洗面器が割れたの?」
「あの、湯あがりに逆さにして腰かけたら・・」
「腰かけた? そりゃあ割れるよ。なにしてんの」
「すみません。僕も普段ならそんなことやらないんですが。べ、弁償します。あの、おいくらでしょうか」
「ま・・・ゆうてくれたからいいか。謝ってもくれたし。ときどい壊してもなんもいわんといってしまうひとがおってな、ああいうのがいちばん困る・・・」
そんなこんなで許して頂きました。(恐縮マーク)
そんなこともあって忘れられないお湯となりました。真賀温泉の幕湯! ほんっと、話はちょいズレたけど、こちら、掛け値なしの名湯ですから! まちがいなし。
あ。おなじ湯浴みの奈良発のライダーさん、最後にとっておきの秘湯を僕にそーっと紹介してくれたのですが、その詳細はのちほどのお楽しみということで・・・(^.^;>
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