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以前から山間にある関金温泉には興味があり、なかでも象徴的存在である温清楼の露天風呂には一度入浴してみたかった。写真だけ見てもその情緒ある露天風呂の風景は、魅力満点であったから。ようやく今回立ち寄り湯ではあったが、入浴する機会に恵まれた。
露天風呂は想像していたとおり、情緒溢れるもので、四季折々入浴を楽しめるだろう。混浴であり、また旅館の廊下から入浴姿が丸見えであるのは、女性には少々辛かろうが、湯舟に浸かってしまえば衝立で隠れてしまう。ただ、誰かが入浴中にお邪魔するのはすこぶる恥ずかしい思いをすることになる。脱衣場には一切囲いがなく、文字通りの丸見えを余儀なくされるからである。
従って、ここは事実上の貸し切りで入浴するのが良い。それもカップルが理想だ。二人だけの世界を静かに堪能できるだろう。
木質の浴槽に、源泉と水がかけ流され、浴槽は中央で二つに分かれる。源泉が注がれている奥の浴槽が熱く、手前はややぬるめ、とはいえ、結構湯温は高い。冬場なら長湯も可能だが、夏場には辛い。湯舟から出たり入ったりとなる。雪見の入浴が最高かも知れない。
温泉はラジウム泉で無色無臭、清明な湯が湯舟に満たされているが、この浴槽のかけの部分はともかく、流しの部分は浴槽の下部からであるらしく、オーバーフローはしていない。従って、湯の表面に多少の汚れが見受けられるのが残念。とは言え、日本の象徴美のような素晴らしい露天風呂であることには違いない。十分に満足した。関金温泉に来たなら、200円の「関の湯」も良いが、この宿の露天風呂は是非とも押さえておきたいところ。800円は高いとは思わない。
内湯も備えられており、こちらは魚を見ながら入浴する水族館風呂、こちらはあまり情緒を感じない。湯は双方かけ流しで申し分ないものであるが。
少々寂寥感を覚える関金温泉、なかでも一番奥に位置する温清楼、願わくば玄関周辺をもう少し綺麗に整理するなどして、宿全体がこの温泉地の象徴とも言える程の美しさを示して欲しい。古くてもよい、小奇麗であればよいのである。現在はロビーが荷物置き場状態で、客を迎える宿としての姿勢が疑われる。残念なことだ。2人が参考にしています