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国道428号線を平野交差点を越えて西に進むとすぐに天王川がある。川をはさんで西側に湊山温泉があり、かつて東側に天王温泉があったが、残念ながら廃業された。由緒ある温泉を廃業に追い込んだ原因はいうまでもなく神戸市の水道料金値上げである。
湊山温泉は銭湯であるが、結構広いものである。ロビーのみならず脱衣場、浴槽も、普通の銭湯よりも一回り大きい。比較的近代的な建物だが、下足箱と脱衣箱が木製であるのが妙にミスマッチで面白い。
浴槽は縦に長い。中央に長靴のような形をした主浴槽が鎮座し、手前からジャグジーの低温風呂(40度)そして深い浴槽の中温風呂(42度)が続き、随分と大きな浴槽だ。低温風呂には蛇口がついており、源泉を注ぐことができる。
主浴槽の横には源泉をかけ流した水風呂、その奥に源泉飲用場所もあり、すっかり湯治場の雰囲気だ。水風呂が源泉かけ流しであることは、源泉温度がかなり低いということ、主浴槽の湯は加温してある。とはいうものの、加水などはされておらず、源泉100%の湯である。毎日湯を入れ替えるとの貼り紙があり、その良心的な姿勢もよろしい。ただ、主浴槽からはオーバーフローが認められず、源泉100%とはいうものの、厳密にいうとかけ流しとはいえないのではなかろうか。
最も奥には円形の高温温泉(46度)もある。ここまで熱くては入りにくい。
源泉は金気臭の強いもので、ほとんど無色、飲泉するとややえぐ味がある。調子に乗ってがぶ飲みしたが、ヒ素を含むため一日220gまでと書いてあるので要注意。
源泉の飲泉場前に座り込んで、源泉を浴び続けるご隠居もおり、のんびりとしたものだ。椅子も設置してあり、湯治場のごとき雰囲気は大都市神戸にある銭湯とは思えない。つまらぬ機能バスなど無いのも結構なこと。
ここでは温冷交互浴などすれば、すぐに時間がたつ。こんな温泉が近くにあれば頻繁に利用すること確実だろう。スーパー銭湯などとは違った、時間がゆっくり流れる湯治場の雰囲気がすっかり気に入った。0人が参考にしています