-
06年8月中旬、深夜に旅行に行こうと思いつき翌日の午前八時には「あずさ」の車両連結部で座りこんでいました。車両連結部の為風景を眺める窓もドアにしか無くすでに先客もいる為、外を眺める余裕が無いほど混み合った車内で酷い吐き気と過度のストレスに耐えながらたどり着いたのは甲府駅でした。吐き気が治まるまで駅のホームで休みロータリーの駅前の信玄像の前で一服した後、レンタカーを借りコンビニで旅行雑誌をあさり、ひたすらに宿探しを始め一時間程、やっと見つけた旅館、キャンセルが出たらしく予約を取り付けました。 嵯峨塩館です。旅館への道のりは正直不安がつのりましたが、いざ到着してみて「あぁ、よかった、ここは心から休める場所だ・・・」と思いました。立地の為当然ではあるのですが「静寂」の一言に尽きるのです。住まいは渋谷会社は新宿の私には人がいない事が最も嬉しいことなのです。アプローチからエントランスまでの一体感、ラウンジの空間ボリューム、外へ出て坂を少し下れば清流、部屋に入り窓を開ければむせ返るような緑と川のせせらぎ、風呂に入り用意された麦茶を一機に胃の中に流し込み囲炉裏で淹れたコーヒーをラウンジのロッキンチェアーでゆっくりと飲み部屋へ戻る。日が暮れてきた・・・そういえば途中せっかくだからとホウトウをたべたが「なるほど名物に美味いものは無いとはよく言ったものだ」と感心したきり何も食べていないなと考えた矢先、部屋の電話が鳴る。食事の為広間へ通されると思った以上に客がいる、しかし一同皆大人、静か。「客層が良い」料理は地味。しかし食べると止まらない。歯ごたえ、温度、味付け、どれも小気味良くテンポがあり飽きることなく食べれる。夏はデザートに桃が丸ごと付くのも嬉しい、手をベトベトにしながら夢中で桃にかぶりつく。「さぁおなかいっぱいだ」と部屋に帰ると森の木がざわめく音、止むことの無い川のせせらぎがいっきに眠りを誘う。それを我慢して一風呂浴びる。麦茶を飲む。部屋に戻り布団の上で今朝の事を思い出す。「今回はラッキーだったな・・・」気づくと朝でした。今月も予約の電話をすると旅館の方が私の事を覚えていてくれたのが嬉しかったです。今年は電車も予約していくので去年よりゆっくりできそうです。
はっきり言って老け込んでないとまったく面白みのない旅館かもしれませんが、私は今から旅行前日の子供のような気持ちで 嵯峨塩館に行くのを楽しみにしています。
あと旅館への道のり素敵な清流があるのは秘密です。
15人が参考にしています