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人吉で泊まりたくて旅館を探していたところ、大正2年創業という芳野旅館さんが目に留まりました。
創業当時は料亭で、その後人吉相良藩の御殿医のお屋敷として使用されたという由緒のある建物。これはお湯も期待出来そう!と思い、宿泊を決めました。
到着してみると、建物は川沿いに美しい白壁が続く広いお屋敷。人吉の中心部にこれだけの広さ。旧相良藩御殿医という位の高さが伺えます。
お部屋は古いお屋敷には珍しく天井が高くて圧迫感がありません。うぐいす色の土壁、柔らかな白さの障子、欄間のデザイン、どこを見ても、当時の大工さんたちの思い入れが感じられます。
さらに、窓からは手入れの行き届いたお庭を眺めることが出来ます。鮮やかな緑の苔で彩られた古木や灯籠はこちらの建物の歴史を物語るようです。
ここでお部屋のお茶が安っぽい味だと興ざめなのですが、芳野旅館さんはとても美味しい球磨茶を用意してくださっています。香りの良いお茶を頂きながら、お庭やお部屋を眺めているととても豊かな気分に浸れました。
そしてお風呂は温泉ファンには嬉しい半地下構造です。(写真)
内湯は石風呂、露天風呂は岩風呂で、コンパクトながらお宿に相応しい落ち着いた感じです。特に露天風呂の石垣はとても立派で石組みに見とれてしまいました。
お湯は、薄い黄緑色で爽やかなモールの香りが漂い、ツルツルとした肌触りです。メタケイ酸が160mg/kg含まれているためか、保湿効果が強く、髪がなかなか乾かないぐらいでした。
源泉は100年近く利用していたものから新しく掘ったものへ昨年切り替えたとのことで、湯量が豊富で温度も安定しています。湯舟は豪快な掛け流しですし、シャワー&カランも温泉使用なので、お湯の良さが実感しやすいと思います。
大浴場の他にこぢんまりとしたタイル貼りの貸切内湯が1室有り、空いていれば宿泊者はいつでも利用することが出来ました。
古き良き雰囲気を残している一方で、お手洗いをウォシュレットにしていたり、浴室などに手すりが設置されていたり、適宜手が加えられていて、古い建物の不便さを解消する心遣いが感じられました。
このような歴史ある由緒正しい建物に宿泊出来て、その上素晴らしいお湯を愉しめるところは、人吉以外にそう数は多くないでしょう。
これまではスルーしてえびのにばかり行っていましたが、人吉に立ち寄ることが多くなりそうです。5人が参考にしています