-
小振りだが和風の瀟洒な建物、まだ新しい建造物で清潔感もある。大型スー銭のような喧騒感がないのが心地よい。ただ、近隣に牧場でもあるためか、牛糞の臭いが漂うのが少々無粋ではあるのだが。
内湯は特別目立った設備があるわけでもなく、天然温泉浴槽があるわけでもなく平凡な造作であるが、ここでは露天エリアの浴槽に天然温泉が注がれており、また開放感も格別で、露天風呂中心の温泉施設といえる。寝湯や洞窟湯につながっている大きな浴槽が中央に配置され、奥に温泉が滝になって流れ落ちる湯船がある。この湯船の湯は新鮮ではあるものの、少々熱いのを我慢しなければならない。
肝心の湯は、ややぬめり感のある塩味の強い存在感あるもので、泉質はナトリウム塩化物強塩泉、泉温59.1度の高温泉である。単なる塩の湯であるというだけでなく、若干のぬめり感がまた良い。色合いは黄褐色。味覚や臭気は大阪の温泉銭湯「テルメ龍宮」に似たものである。やや熱めの塩湯に入るのを好む人が、冬場に入浴すると格別だろう。
ただ、循環・塩素消毒が施された湯であり、加工されていない源泉を堪能することは残念ながらできない。循環利用にもかかわらず色合い、味覚等存在感ある湯であり、源泉はさぞかし個性的で強烈なものであろうと思う。その意味で源泉の利用方法がやや残念である。
しかし、源泉が個性強く良質な湯であるために、無個性な塩素の臭いだけする噴飯ものの温泉施設とは一線を画してよいと思う。13人が参考にしています