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「浜の湯」。道路の真上に設置された大きな標識がなければ素通りしてしまうほど、港の風景に溶け込んだ共同浴場。それもそのはず、道路からその施設は見えない。堤防の中にあるからだ。駐車場といっても道端に輪止めらしき木材が置かれてあるだけで、誰しもすぐにはそれと気付かないだろう。
恐る恐る堤防の中を覗き込むと、そこには誰もいない湯船がひとつ。茶色に染まった浴槽からはお湯がゆっくりと掛け流されている。脱衣スペースにはすのこが敷かれ、とても清潔に管理されている。壁には「温泉分析書別表」まで掲示されており、よそ者ながら感心させられた。
少し温めのお湯に浸かり、目の前に打ち寄せる波の音を聴いていると、かつて経験したことのないような心地良さに包まれた。里山の風景に癒されるように、のどかな漁村風景にも「癒し」を感じる。そんな環境のなかでお湯に浸かれる喜びを存分に味わった。
一人貸切だったうえに寸志のみで入浴させていただいたが、この浴場を管理されている方々に感謝し、これからもずっと守り続けてほしいと願うばかりである。2人が参考にしています