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2006/09/08宿泊。
平日でしたら一人泊可能です。全館硫黄臭が溢れ、建物の裏手には湯で白濁した渓流が流れ、その奥に自然の山肌を利用した見事な庭園がありました。その庭園と渓流沿いに有名な茅葺きの湯小屋/女性専用露天/男女日替わり露天/足湯が並んでおり、宿泊客は午前6時~午後10時の間ならばいつでも源泉かけ流しの白濁湯を楽しめます。館内には24時間入浴できる大浴場と小浴場(どちらも源泉掛け流し)がそれぞれ1つ。
一泊二日13.800円という最低ランクの一人泊だったのですが、宿の方も親切で、料理は朝夕とも部屋出し。夕食はメニュー付きの食べ応えのあるものでした。
特筆すべきは、やはり湯小屋。140年前の面影を残し、浴室と脱衣所が一体となっている造りは、さながら江戸時代の共同湯の風情があり、薄いブルーに細かな白い湯の花舞う湯に身を浸すと、古(いにしえ)の昔に生きているかのような錯覚に陥ります。…ふと、見上げれば、ランプの灯が木組みの天井と素通しの茅葺きをやわらかく、温かく映し出して、旅人の心の垢(あか)をゆっくりと流していってくれます。
翌朝早朝。何気なく部屋から庭園を眺めているとなにやら動くものが。よくよく見ると、なんとニホンカモシカがいるではありませんか。急いで下におり、5メートルほどで対峙(画像参照)しましたが逃げませんでした。はじめて生でニホンカモシカを見られて大変感激しました。
後に宿の方に聞けば、彼(彼女)は複数おり、朝昼2回ほど玉子湯を訪問するそうです。
「性格はおとなしいですから危ないことはありませんが、一階のお客さんなんかは、朝カーテンを開けたら目の前の庭をカモシカが闊歩(かっぽ)してて驚かれることもあるんですよ」
とのこと。湯の他にこんな楽しみも味わえるのは、とても嬉しいものです。特に木の芽時などはほとんど毎日来るそうですので、来春などはそれを楽しみに行かれるのも良いかもしれません。もちろんカモシカだけでなく湯質、サービス、接客なども総合的に一泊に値する宿だと思いました。お薦めできると思います。
※★4つとしたのは、私の好きなぬる湯がないことと、部屋の防音に少し難があることです。ぬる湯については宿の意見欄に書いておきました。防音の件は、気になる方は耳栓持参だと安眠できるかと思います。いずれにしろ、良い湯、良い宿ではあります。1人が参考にしています