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さて、南紀白浜の「崎の湯」の極上のお湯をたっぷりと堪能したのち、白浜からルート311をひたすら愛車で北上しつづけたイーダちゃんは、08'の11月25日火曜の15:30、世界遺産のこちら、憧れの「湯の峰温泉」にとうとう到着いたしました。
ずーっとずーっと夢のなかで憧れつづけていた、日本最古の古湯「湯の峰温泉」はちっちゃな山あいの温泉地。クルマで50mもいきすぎたらもう旅館なんかどこにも見えなくなってしまうような、小ぶりな、ささやかな温泉地でありました。
公共の駐車場にクルマをとめて、写真にあったままの、村のメインストリートを歩きます。「小栗判官再生の地」という赤いのぼりが湯の谷川のせせらぎ沿いに何本も立っていて、それが折りからの風にあおられてはたはたしている、たったそれだけの光景がやけに胸に染みるのは何故でせう? これがひょっとして歴史力ってやつ? うーむ、ふしぎなり。
山あいの町は下界より夕暮れが早く、僕が訪れたときにはもう日の光が夕方の気配を乗せておりました。
「これは、日が沈むまえに早くつぼ湯に入っちゃわないとな」なんて思って、さっそく「つぼ湯」へとむかってみます。「つぼ湯」の料金は、東光寺奥の「湯の峰温泉公衆浴場」で受け付けています。番台窓口のおじさんに尋ねると、まず750円の入浴料を払って、それから「つぼ湯」入浴は順番待ちになるとのこと。18という数字の番号待ちの札を手渡され、僕の入り湯はだいたい1時間半後ということを云われました。
「いや~ 普段ならこの時刻は空いとるんやけど、昨日は祭日やったろ? その名残りと思って堪忍してや」
もちろん異論なんぞありません。なんといっても世界遺産の古湯ですもん。待つのもまた一興(^^) ただ、ぼんやり待ってるのも芸がないんで、東光寺の前のお店で網に入った生卵を5つ買い求め、湯の谷川の清流脇にある有名な「湯筒」へとむかいます。待ちの時間を利用して自家製の「温泉卵」を作ろうというこのもくろみ。いや~ これがなんと大成功でした。
「湯筒」まわりにはほかのお客さんもちらほら。みーんなこれが卵作りのお客さんでして、なかには温泉卵の代わりに網に芋を入れているひともいる。皆さんに「こんにちわ~」と軽く挨拶して、ちょっとお喋り、で、ふつふつと煮えたぎるお湯に卵の網をS僕も投入してみます。
湯の谷川の小ぶりな清流はさらさらと流れ、
湯筒のなかの源泉のお湯はかすかーにポコポコ。
そんな贅沢な待ち時間をぼんやりとたっぷりと楽しんで、10分後に卵をあげて食せば、これがなんという旨さかな(^o^)/ 作りたての温泉卵がこれほど旨いとはね。殻向きには苦労したけど、僕、3個も食しちゃいました。
さあ、そんなことをしているあいだに番待ち間近となり、「つぼ湯」すぐうえの壷湯橋近辺で待機していると、「つぼ湯」の木扉から女性の二人組がふうと出てこられて、いよいよ僕の番です。女性連に挨拶して、木扉脇のフックに自分の番の番号札をかけて、きゃーっ! ようやく待望の「つぼ湯」へIn。
「つぼ湯」、素晴らしかったデス(T.T)
僕が入ったときは、お湯はやや緑寄りの白濁色をしておりました。つーんとくる硫黄の香りがもう辛抱たまりません。服を脱ぐのももどかしく、せっかちにざばーっと掛け湯して、まあるい湯舟に足先からちゃぽんと入り湯すると、おお、これは思ったより野趣のある、かなり力強いお湯じゃないですか。
ええ、さっすが千数百年の歴史をもつ湯! 足と尻に触れる湯舟の底の玉砂利がいい感じ。頭と肩にごつごつ当たる、せりだした岩の湯舟の内部をゆっくりと回転して、自分として落ちつけるベストポジションを探します。うん、このポジションがいっちゃんしっくりくるな。そんなこんなしてるうちにふと気づくと、湯舟の縁のほうからあぶくがぷくぷく。おお、足元湧出の証明のあぶくちゃんじゃないの! なんてひとりでなんか躁状態(^.^;>
でも、そうなっちゃうよ、温泉好きなら誰だって。Very いい湯なんだもん。肌にも心にもお湯の強い再生の力がぐいぐいと染み渡る、日本最古の歴史を誇る温泉「つぼ湯」とは、そのような「湯力」を感じさせるお風呂でありました。
持ち時間の30分なんてあっというまでしたね。30分ぎりぎりで湯小屋の木扉をあけると、ああ、湯の峰温泉はもう夕方の濃い藍色に染まっておりました。肩に手拭掛け、顔に満面の笑みを浮かべて湯の谷川をゆっくり歩いてクルマにむかうあの時間の心地よかったこと(^o^;>
超満足。なんという逸楽でせう。これですっかり「つぼ湯」の虜となったイーダちゃんは、翌日も、そのまた翌日も、憑かれたようにこちらの「つぼ湯」に通うことになり、結局熊野に滞在中、計3度も湯浴みすることになるのでありました。3人が参考にしています