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投稿日:2010年3月18日
浅草 蛇骨湯 (蛇骨湯(閉館しました))
paw_pawさん [入浴日: 2010年3月18日 / 2時間以内]
55.0点
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他の方の口コミ通り、ちょっとややこしい立地の蛇骨湯さん。アクセスは浅草のランドマーク<浅草ROX>の正面向かって右方向に進み、二つ目の細い路地を左折。すると前方右上に緑色の小さな看板がありますので(写真上参照)、矢印にしたがって右折するとすぐ右側にあります。すっぽりと隠れるように建っていました。
千鳥破風や唐破風のある銭湯建築ではなく、随分と今風な外観です。なんでもリニューアルしたばかりとのこと。しかしこちらの歴史は古く江戸の安政期にまでさかのぼるというから驚きます。当時実在した蛇骨長屋から名前が付いたそうで、長屋が軒を連ねていたであろう路地の様子は、平成の今日でも往年の面影を残しています。
入り口の券売機で入浴券を購入するシステムですが、今回は入浴料金450円にプラス150円でフェイスタオル、リンスインシャンプー、石鹸、ハブラシ、剃刀などが付いた<手ぶらセット>のコースを利用しました。お得な回数券などもあるようです。詳しくはHPをご参照ください。
受付には浅草の酸いも甘いも知り尽くしたような貫禄を漂わせる女将さんが鎮座しておられました。如何にも下町の女将さんといった方で、いつまでもお元気でお仕事を頑張ってもらいたいものです。女将さんに入浴券を渡していよいよ浴室へと突入です。
内部は外観同様、新しくどこを見ても小奇麗で気持ち良いです。皆さんの口コミにあるように、かなり手狭なのは否めませんが、コンパクトながら良くまとまっています。浴室も一般的な東京の銭湯に比べれば半分以下のスペースでしょうか。そこに源泉利用のシャワー&カランを備えた洗い場、内湯のメインである源泉浴槽、浴室からせり出すように造られた屋根付きの源泉露天(半露天といったほうが正しいでしょうか)、その隣には源泉の水風呂、そして露天の目の前には滝や鯉が泳ぐ池を備えた下町銭湯の定番である坪庭まで造られてあります。さらに浴室の壁にはペンキ絵ではなくタイル絵の富士山がゴージャスに描かれ、開放感の演出に一役買っていました(このタイル絵は特注で焼かれたものでしょうから、相当な費用が掛かっていると思います)。そして別料金ながらサウナもあるというのですから、もう脱帽です。
たとえ狭小であっても、中身は一切妥協したくないという江戸っ子の心意気が感じられる魂の間取りと内容という他ありません。渡辺篤史さんが探訪されたら腰を抜かすでしょう(笑)。
お湯はいわゆる黒湯で癖や刺激の全くない、こなれた湯でした。黒いというよりも濃い茶色で、私は密かにイソジンブラウンと呼んでいます。湯温は内湯・露天ともに体感42度弱といったところ。さすがに源泉掛け流しというわけには行かないようですが、カランやシャワーにも源泉を利用しているのには驚きました。温泉地でもなかなかこうはいきません。
私が訪問したのは平日の午後11時ちかく、入浴客は絶えず10人以上はいたでしょうか。おじいさんからホストっぽい黒服のお兄ちゃん、背中に絵のある寡黙なミドル、スーツ姿のサラリーマン、バスの運転手さんらしき制服を着た中高年、そして私のような憐れな迷える温泉ジプシーまで、年代も職業も多種多様な客層なのは、やはり浅草という土地柄なんでしょうか。しかし裸で湯に浸かれば皆同胞。銭湯には温泉地とは一味違う日常に根ざした魅力と湯情があるようです。湯に浸かりながらつくづくそう思いました。
東京浅草のど真ん中に銭湯組合統一料金の450円で温泉を利用した湯に入れるのですから、手狭なことを差し引いても充分お釣りの来る施設だと思いました。浅草見物がてら手ぶらセットで一風呂浴びるなんていうのもいいかもしれません。
評価は狭小のスペースながら妥協をせず、しっかりと銭湯文化を守っておられる姿勢にエールを送りたく、星一つプラスして満点にしました。7人が参考にしています
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