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投稿日:2006年8月20日
情緒溢れる半混浴露天風呂 (陶泉 御所坊(とうせん ごしょぼう))
湯けむり天使さん [入浴日: - / - ]
44.0点
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歴史と伝統と格式を持つ有馬屈指の高級旅館、昭和初期の木造建築の宿で、豪華絢爛という類のものではございません。むしろ団体客より個人客を重んじる温泉旅館でございまして、観光バスで大挙して乗り付けて、お下劣大宴会に興じるのが好きな輩には全く似つかわしくございません。はっきり申し上げて、この旅館は人を選びます。旅館の方が客を選別するというのではなく、自然に下品な人は淘汰されてしまうとでも申しましょうか。
湯の妻様が、岩井温泉の岩井屋に似ていると申されておりますが、確かに純日本風の木造旅館と趣味の良さは共通いたします。しかし、この御所坊はやや個性の強い旅館でありまして、綿貫宏介氏のデザインされた書画の類が旅館の各場所に飾られ、氏の雰囲気で旅館が統一されている、所謂デザイナーズ旅館でございます。従いまして、岩井屋と比較いたしますと、好き嫌いが分かれる宿と申せましょう。
温泉は、金郷泉と名付けられたもので、当然のこと有馬特有の金泉が注がれております。浴室に入りますと白湯の浴槽があり、これは上がり湯でございましょう。塩分濃度の高い金泉を浴びたままでは湯上りが気持ち悪うございますから。
天然温泉浴槽はスロープ形式になっておりまして、そのまま進みますと、半露天・半混浴部分に到達するのでございます。洞窟の中に進み行く雰囲気でございまして、夏場であったため窓は全開で、冬場のように湿気で視界がぼやけるなどというようなことはございません。
男女の仕切り部分は低く、竹竿で区切られてございます。浴槽が、坐った状態でくつろげる深さに造られてありますために、立ち上げると当然丸見えでございますけれど、浴槽に身を沈めている限り、褐色に濁った金泉と相まって、肩から下が見えることはございません。まことに上品な混浴でございます。個人客と泉質を重視する御所坊の面目躍如と申せましょう。
ただ、ここはやはりカップルでの入浴が理想であります。それも若干年齢層は高めが似つかわしいと思われます。下品な団体は論外として、女性一人ならともかく男一人の入浴というのもやや似つかわしくないと申しますか、躊躇してしまうと申しますか・・・
御所泉源・うわなり泉源の湯をそのまま浴槽に注がれており、色合いは赤褐色、海水の二倍の塩分濃度の塩辛い湯でございます。男湯には源泉注入口らしきものがあり、確認しましたところ、いささか熱く、湯の花舞う結構な源泉でございました。その源泉口の湯と浴槽の湯には若干の差があるのが少々残念でございまして、湧き上がってから時間が経過した湯特有の匂いと僅かな消毒臭が、浴槽の湯からは立ちのぼるのでございます。
宿泊が理想でございますが、庶民が易々と泊まれる旅館ではございません。立ち寄り湯の1575円と若干高めではございますが、良質な湯と雰囲気を鑑みれば高いものではございません。カップルで一度入浴してみるのも話の種によろしゅうございますよ。
ただ、泉質を最大限に重視する向きには、天神泉源に最も近い上大坊に勝る宿はございません。金泉の濃さは圧倒的でございますから。3人が参考にしています
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