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大倉海岸海水浴場近くにあるスーパー銭湯。夏場には、プールに毛の生えたような小規模かつ過保護な海水浴場で遊んだ人達が、大挙して湯浴みに押し寄せることになる。夏場の土日などは避けた方が無難だ。
この施設の売りは、一見有馬の湯とおぼしき塩化物温泉並びに明石海峡を望む観景なのだろう。入浴料金が550円とリーズナブルであり、優れものの天然温泉が低料金で堪能でき、かつ景色も抜群ならば文句はないが、残念ながら全てが中途半端と言わざるを得ないのである。
確かに、露天エリアの展望岩風呂には赤茶けた天然温泉が注がれている。含鉄の塩化物温泉らしい色合いと塩味が効いた湯は一見天然温泉らしい。しかし、このあたりを少々深めにボーリングして汲み上げた化石海水はほとんどこのような湯であって、純粋のかけ流しの有馬温泉の強烈な湯と比較するのは少々無理がある。別段施設側は有馬を意識などしていないが、特に目立った泉質でもありはしない。
確かに、この湯を純粋に岩風呂の浴槽にかけ流して頂ければ有難みも沸くであろうが、循環し塩素消毒を施して、ほとんど天然温泉の芳香を消し去っている湯に私は癒されることはない。この程度なら同じ明石にある温泉銭湯の恵比寿湯のかけ流しの天然温泉や、西宮のクア武庫川の存在感ある湯に到底かなわない。「かけ流し及び循環泉」と表記されているが、妙に紛らわしい。僅かな源泉投入はアリバイ的で、事実上完全な循環湯である。
露天エリアにある白湯を沸かした岩風呂や石釜風呂が、塩素消毒を施されているのはやむを得ない。そのような演出以外の、天然温泉を売りにする浴槽に、無粋な塩素消毒を強烈に施してしまうのは少々問題ではないかしらんと思う次第。
また、観景を売りにするなら、今ひとつ工夫が必要だろう。一段高い場所にある展望岩風呂で立たないと、明石大橋は見えない。個人的にはどうでもよいことだけれど、これも少々勿体無い。
「眺めよし、泉質よし!その違いを身体で実感ください」と書かれても、実感できたのは強烈な塩素臭なのだから困ったもの、入浴後、灘水道筋温泉で口直しをせざるを得なかった。1人が参考にしています