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篭坊温泉自体が交通の便がよろしくない場所にあり、加えて、以前は有馬温泉ほどの人気を誇ったとは信じられないほどの凋落振りで、何時言っても観光客がいない。数件ある民宿も数が減りつつあり、今や3件ほどを残すのみ。まことに寂しい温泉街なのだが、その徹底したマイナー振りが私の興味を呼び覚まし、何度か訪れたことがある。
常時日帰り入浴客を迎えているのがこの渓山荘、ここ以外は平日には日帰り入浴は無理かと思われる。私は昼食にボタン鍋と入浴のセットで利用した。5000円弱で、個室にての食事と、入浴が堪能できる。家族風呂まで利用してしまった。
味噌味のボタン鍋は美味でお勧め。すこぶる静寂な場所で、夜はさぞかし寂しかろう。都会の喧騒を離れたい人には好ましい場所かと思う。夏には蛍が舞い、冬は雪景色となる。
浴室は1階と2階にあり、それぞれ巨岩をくり貫いた露天風呂がある。なかなか情緒があってよろしいのだが、泉質が問題。無味・無臭・無色透明、全くといってよいほど天然温泉の浴感がない。篭坊温泉の源泉というものを、私は承知しており、見学もし、かつ河原の野湯らしきものに触れてもみた。また、他の民宿の湯の情報を考慮してみても、いかにも不自然である。この温泉地の湯を加温のうえかけ流すと、褐色の湯となるはずで、小さな民宿の規模で循環装置を設置できるはずもなく、ここまで無色透明で天然温泉の香りが一切しない清明な湯は、白湯を沸かしているだけだとしか考えられない。
篭坊温泉の炭酸成分の多い褐色の湯を味わいたい人には不向き。静かにのんびりと鍋に舌鼓を打つだけなら、この渓山荘も悪くない。0人が参考にしています