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地元の方はここを親しみを込めて「岩風呂」と呼ぶ。
昭和30年頃まで、家にお風呂の無かった人たちは家族みんなでここを訪れ、親交を温めた生活に根付いた浴場なのだ。
NHK「ふだん着の温泉」でここを知り、今回宮城へ向かうことで必ず訪れたいと思っていた。
白石川沿いにある小原温泉は想像以上に鄙びた温泉地で、バス停などは蜘蛛の巣も張るほどでした。幾つか旅館もあるものの、ひっそりとした空気とその佇まいは、昭和の時代に戻ったような不思議な感覚に陥りました。
大きな暖簾を潜って見下ろす湯船は暗い中にありました。
下駄箱が靴で一杯だったので覚悟しましたがお客さんも一杯で、一体型の脱衣所は狭さを感じます。
無色透明の湯は若干のとろみ加減が絶妙な、シンプルですが熱い湯でした。見上げると迫り出した大きな岩がなかなかの迫力。
幅の無い縁で休憩を繰り返しつつ、帰りのバスが来るまでの2時間弱を惜しむように入浴しました。
外に出ると爽やかに吹き抜ける風が身体を包み、ポカポカになった後で一服の清涼剤のよう。近くのつり橋に架かったこいのぼりが靡き、休憩所にある松ぼっくりや瓢箪の飾りが何とも微笑ましい。クリスマスで使う様な電飾も施され、夜の様子も見てみたいと思いました。
TVでも紹介された管理組合の組合長であるおじさん。
復活したこの温泉を守るおじさんだ。
この日の格言は「生きている証しと返さぬ免許証」
午後の湯温は42.5℃なり。6人が参考にしています