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塩の湯温泉は、塩原温泉の中心部から少し離れた自然の中にあって、鹿股川沿いに少数の宿が固まっています。その中の一軒が柏屋旅館さん。どの浴槽も、百パーセント源泉かけ流しです。泉温は60.3度で、塩分を含む薬湯。温泉分析表には、「無色透明で、ほとんど無臭。塩味と微鉄味を有する」と書かれていましたが、すこし茶色っぽいです。私好みの熱めで、とても温まります。全体にこれといった特徴のないお湯のところが多い塩原ですが、塩の湯は、じつに温泉らしい温泉。自然の中で本物のお湯を堪能しました。
温泉施設は、男女別の内湯のほかに、貸し切り露天風呂が七つもあります。どれも空いていれば鍵を借りていって入れるので、あちらこちら自由に試すことができます。私は、三つだけ試してみました。「雷テイの湯」は、鹿股川の「奥行きのある渓谷」をみわたせる絶景ポイント。紅葉の頃は、さぞすばらしいでしょうね。河岸の湯は、別館から約110段の階段を降りて行かなければなりませんが、もっとも川に近く、急な階段を降りていくだけの値打ちがあります。もっと近いところの露天でも、周囲は自然がいっぱいで、開放感にあふれています。
お湯だけの得点であれば満点をさしあげたいところ。しかし、自然度と近代化度は、しばしば反比例するものでして、この宿は自然度が高いために、モダンでピカピカの施設をお求めの方には、減点対象になる点が少々あるでしょう。それでも、私はそれらを挙げる気にはなりません。もっと多くの人にこのお湯を味わってもらい、流行ってもらいたいと思いました。紅葉の頃に、ぜひ一度足を運ばれるようおすすめします。9人が参考にしています