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冬の日本海は人に様々な想いを連想させる。淋しさ、怒り、悲しみ・・・。太平洋が陽のイメージであれば、日本海は間違いなく陰のイメージだろう。人は辛く悲しい出来事に直面した時、共感を求める。共感による癒しをへて、初めて希望を見出す。そんな共感の相手が人でなければならないということはなく、自分の心境にピッタリくる土地や風景であってもいい。僕にとって、日本海の風景は、癒しを感じさせる場所である。もうかれこれ越前に足を運ぶようになって15年、仕事で行きずまった時や人間関係等で悩んだ時、いつも僕は漁火のお湯に包まれていた。日本海の鉛色の寒空の下、波しぶきをあげる荒波を目前にお湯に浸かると不思議と心が癒された。露天に浸かり、凍りつくような寒さや迫りくる荒波を見てると、それらが人生における試練や逆境に見えてくる。そんな中でも暖かく自分を包んでくれる無色透明のヌルヌルしたお湯が強い味方のように思えて何だか頼もしい気分になる。なんだかわからないが、 「どーにかなる・・大丈夫。」なんて意味もなく安心する。いままで悩んでいたことがいかにちっぽけでツマラナイことなのかが見えてきて楽になる。夏に見る夕日
や、日が沈んだ後に水平線一面に広がる蛍の光のような漁り火を見ながらの入浴も格別だが、やはり僕は冬の日本海を見ながらの入浴が好きだ。いつもココに行く時は、河野有料道路を走る。その時のBGMはいつも同じSTINGのISLAND OF SOULSとTHE WILD WILD SEA。これらはアルバム、THE SOUL CAGESに収められている。この幻想的な音を聴きながら幻想的な風景の中、水仙の香りに包まれながら漁火へ向かう。これが何ともいえないイイ感じを生むのだ。
最後に、あなたに是非お勧めしたい。魂の垢を落とす温泉の素晴らしさを・・・真の癒しを・・・直に感じてほしい。
そして、そのお湯に浸かった時、このメッセージへの疑いが確信へと変わり、漁火との出逢いが偶然ではなく、必然だったことに気づくだろう。31人が参考にしています