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昨年まであった商店街にあった阿部野橋温泉が、阿倍野再開発のからみで移転し、新たに都市型銭湯としてリニュアルオープンした。別の場所に移転してリニュアルというのも珍しい例だ。いずれにせよ、街の銭湯が減少し続けている昨今、銭湯の経営にこだわる方がおられるということは、実に有難いと感謝せねばならない。
高層ビルが立ち並ぶ阿倍野再開発地区の、あべのグラントゥールというマンションの一階部分に店舗はある。入口を入ると下足箱が並び、100円硬貨を投入しなければならないシステムだ。券売機で入浴券を購入してカウンターに持参する方法もスーパー銭湯と同様。広く綺麗なロビーは、都市型銭湯の未来形のようなものかもしれない。昨年10月オープンだけに、実に綺麗な設備である。
浴室は縦長形式で、実に広い。ただ、マンションの一階部分を利用しているために、露天風呂はなく天井も低い。
中央の洗い場を挟んで、男女仕切り壁部分と、反対の外壁部分に沿って主たる浴槽が並ぶ形式で、仕切り壁部分が天然温泉、反対側が白湯である。白湯は深い主浴槽に加え、ジェットバス、座り風呂、電気風呂等の機能バスが中心、天然温泉浴槽側は、手前から寝風呂形式のリラクゼーションバス、強力ジェットのエステバス、深浅主浴槽が並ぶ。なかなか合理的な造りだ。
奥にはサウナ(有料)とスチームサウナ、水風呂が並ぶ。水風呂は備長炭の袋を沈めて底に金メッキを敷き詰めた「備長炭黄金風呂」、豊臣秀吉の黄金の茶室じゃあるまいし、変な趣味だ。
この銭湯の優れたところは、やはり天然温泉というところにある。港区のテルメ龍宮オーナーの身内が経営されているだけに、天然温泉はテルメ龍宮から搬入されており、そこと同様の塩化物強温泉を堪能することができる。循環の湯だが、スーパー銭湯のような強烈な塩素臭とは無縁で天然温泉を実感できる良い温泉だ。
交通至便で良質の天然温泉、しかも銭湯価格、これは素晴らしい。1人が参考にしています