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近代的設備に置き換わった途端、泉質が悪化する例は甚だ多い。残念ながら、このふれ愛温泉矢田もその典型例、リニュアル後も源泉かけ流しの良質な温泉を愉しめるかと淡い期待を抱いていたが、やはり裏切られた。
温泉分析表に、温泉の成分に影響を与える項目として、加温・循環の後に、濾過・塩素系薬剤で消毒とあり、濾過・塩素消毒の部分は後から貼り付けてある。以前は電気風呂部分のみ塩素消毒を施している趣旨の記載があったが、今ではその記載はない。即ち天然温泉浴槽はすべて塩素消毒を施されているということ。それにつけてもよく表示が変わるものだ。リニュアル後、はじめから循環・塩素消毒の施設であるならそのとおり正直に書けばよいのに。
源泉かけ流しか循環か、塩素投入の有無など、温泉の香りで大概はわかってしまう。旧施設の温泉と比較して、明らかに泉質は悪化している。現在の湯は、残念ながら天然温泉の香気は消えうせ、使いまわした湯の臭いがする。強烈な塩素臭がしないのが救いだが。
田舎の温泉と違い入浴者は半端な数ではなく、衛生面での管理も重要だろう。水道料金の問題もあるだろうし、バリアフリーの要請もあることだろう。しかし、素晴らしい湯をかけ流しで愉しめ、庶民の桃源郷とおぼしき共同湯の雰囲気濃厚だった旧施設と比較すると、寂しいことこのうえない。
新しい近代的金ピカ温泉施設の大半は、温泉を殺してしまっているようだ。1人が参考にしています