-
投稿日:2006年12月10日
情緒と開放感兼ね備えた秘湯 (般若寺温泉(はんにゃじおんせん))
湯けむり天使さん
[入浴日: - / - ]
55.0点
-
0 - 点
-
0 - 点
-
0 - 点
-
0 - 点
奥津温泉郷で最も鄙びかつ孤高の湯、かつてより、日帰り入浴は困難を極めるとの噂に尻込みしていたが、恐る恐る予約の電話を入れると拍子抜けするように簡単に予約できた。宿の若旦那にもお話を伺ったが随分話好きで好印象、案ずるより生むが易しである。
場所は川沿いの一軒宿で、母屋は格式のある萱葺屋根の建造物で、さすがに以前は寺院の宿坊であった名残がある。川沿いに木造一戸建ての渋い建物が三軒建っており、こちらが宿泊場所になる。宿泊料金は高いが、一度はこんなところで泊ってみたい。完全に個人客用の宿で、騒がしい団体客など来る道理がない。母屋に近づくと三匹の犬に激しく吠えられるが、それはご愛嬌。
入浴施設は離れに内湯の建物と建物に隣接した川横の小さな露天のみ。内湯の浴室で脱衣し、露天へは一旦外へ出て建物横の浴槽へ向かうことになるが、すぐに露天風呂に到達する。
ここの露天風呂が開放感と情緒を兼ね備えた絶品で、エメラルドグリーンの川面と渓谷の緑の観景を存分に堪能できる。「鮎返しの滝」がすぐ面前にあるけれど、一定の水量がある時期に見た方が景色は良い。季節によって、あるいは日によって水量が随分と異なる様子。私の入浴時にはかなり水量は少なかった。
大釣温泉の建造物からこちらが丸見えといえば丸見えであるが、至近距離でもなく、ほとんど気にならない。ただ、その建造物は渓谷に不似合いであり、無粋そのもの、ここでの観景において唯一の欠点か。
露天が白眉ではあるものの、内湯も情緒あって良い。内湯に浸かりながら、窓を見上げると、すりガラスから差し込んだ陽の光に湯けむりが映えて、すこぶる幻想的である。内湯も露天も小さなものであるので、一緒に入浴できるのはせいぜい2、3人が限度だろう。
泉質はアルカリ性単純泉で、奥津温泉郷にふさわしい清明な湯、湯温は40度前後のぬる湯で、当然のことながら無加温・かけ流し・無添加の湯であるために、冬季は入浴が不可能、こんな敷居の高さもまたよろしい。
入浴には予約が必要で、一時間千円貸し切り制。予約さえすれば一時間特上の湯を独占できる。知る人ぞ知る秘湯で、本当は秘密にしておきたいほど私などはお気に入りのスポット。アベックでの利用などが最適かもしれないが、品のない騒々しい御仁は止めておいた方がよいだろう。ここでは似つかわしくないから。16人が参考にしています