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宣伝もほとんどしていないので、知る人ぞ知るマニアックな温泉かもしれない。それもそのはず、プレス工場が掘り当て、その敷地内に質素な建物を建てて細々と営業しているのであるから。困ったことに、私なんぞはそんなマニアックな存在に食指を動かされるタイプであるので、奥津温泉の帰り道、つい立ち寄り湯をしてしまった。
農道を走るうちに、田んぼの真ん中にぽつねんと現れる。看板は結構立派なもので、方や建物は結構小ぶりで貧相、しかし清潔に運用されている。券売機で500円の入浴券を購入し、受付のお姉さんに手渡すシステムで、待合室などなく、椅子が三つほどあるのみ。脱衣場も狭く、脱衣籠があるだけ。ただし、無料貴重品ロッカーがあるので安心だ。
浴室は7~8人が入れる程度の浴槽が一つ、カランも6個ほど。石鹸が常備されていた。そして、カランの湯も温泉なのである。温泉地らしくて良い。
浴槽からは周囲の田んぼを目にすることができる。特に何も無い田舎の田園風景であるが、田んぼに稲が青々と茂っている一面の水田を眺めるのも悪くないだろう。私が訪れたのは厳寒の折で、こんな季節は何もありはしないが。
泉質は、低調性アルカリ冷鉱泉、ややツルヌル系の肌触り良好な湯で、優れた浴感を堪能した。無色だが、若干の硫化水素臭、湯原、奥津の癖のない清明な湯よりは個性的な浴感と臭気である。入浴に適した温度に沸かされており、長湯してしまうややぬるめの良い湯だ。
宿泊施設など何もない。岡山観光の折に立ち寄ってみると面白い。私にとっては、シチュエーション、泉質ともに満足であった。入浴料500円は少々高い気がしないではないのだが。17人が参考にしています