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7月18日から、二泊。
直前に行くことだけが決まった旅行につき、行き先探しから。
相方から「白濁したお湯に入りたい」とのリクエストがあったため、
空いているであろう温泉地を探して、PCとにらめっこ、しばし・・・
鳴子、草津、万座を選択肢に。
3日前に豊国館に狙いを定め、電話。
(HPでは予約できません)
10時に電話したらつながらず。
翌日の昼間に再トライ。
若干そっけない印象のご主人ながら、きちんとした対応。
上野10:00発の草津3号に乗って、終点の万座・鹿沢口へ。
ここで標高約800m。
十分涼しいが、ここからバスに乗り、さらに1000mを登る。
東京が30℃を越える中、「高原ホテル」でバスを降りると、涼しい風が体を抜けていく。
20℃前後だろう。
バス停から1分。豊国館に到着。
古いながらも存在感があり、侘びたその概観がお湯への期待を誘う。
廊下を歩けば、一歩ごとに木の床がギシギシと足音を奏でる、
見た目そのまんまの内装。
荷物を置き、早速露天へ向かう。
脱衣所でも、既に強い硫黄臭が鼻をつく。
外への扉を開け、階段を下ると、
(なかなかないことだが、)写真で見たよりも大きく映る湯船と、
すごく完成されている訳ではないが、万座を象徴するような広がりのある風景と、
どこまでも突き抜ける大空が目の前に。
硫黄臭はますます、空間を満たす。
すこし青色がかった白色のお湯に足を入れる。
熱い・・・。46度くらいか。
湧水と思われる冷たい水を供するホースがあったので、
それを頼りにゆっくりと深い湯に身を沈めると、
酸性のお湯がピリピリと皮膚を刺激し、体の輪郭がはっきりするかのようだ。
時期に体がお湯に馴染んでくると、普段はできないような深い呼吸ができる気がしてくる。
涼風。ウズイスの呼ぶ声。
そして他には、とびっきりの源泉が湯船に注がれる音のみ。
力のあるお湯に包まれていると、徐々に万座の自然に溶けていくみたいだ。
体が芯まで熱くなると、洗面器に注いだ湧水を体にかけ、火照りを抑え、
足だけを湯に浸しながら、高原を駆け抜ける涼風に身を任せる。
少し冷えすぎたら、また湯船に浸かる。
決して時計も、守るべき約束もない。
繰り返すうちに、時間も普段の煩わしさも溶けていく。
山の天気は慌しい。
雨、曇り、強烈な紫外線。
あっという間に、見える世界は移り行った。
そして夜。
誰もいない露天風呂。
目が慣れるまで、10分しばし。
初めは数個しか見えない星が、目が慣れるにつれ、数え切れないくらい姿を現す。
それぞれの光が、何年、何千年、何万年の旅の末、ここにあることに思いを馳せ、
そして、宿のおかみさんも一度も見たことがないと言う(それは専ら早寝だからだが)、一線の流れ星。
何もかもを忘れられる、限りなく自由な時間がここにある。10人が参考にしています