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王寺町は、JR大和路線経由で天王寺から15分、梅田から30分ほどという交通至便の地。未だに町制であるが、典型的な大阪の衛星都市、奈良府民の地である。駅前再開発が盛んなようで、以前は閑散としていた旧市街の北口には西友を中心とするショッピングセンターができ、雰囲気ががらりと変わっていた。ここはその王寺駅北口にある銭湯である。ここは依然として旧市街、古い商店街の中にある。駅からは徒歩5分程度と至便であるが、商店街はシャッター通りとなっていた。平日の夕刻の訪問。
入り口にタイルで「王寺湯」と書いてあり、ちょっと微笑む。中は年季の入った番台形式の銭湯。ロッカーはおしどり。浴室は大阪式2階建て浴槽とジェットバス、スチームサウナがある。どれも小さい。1時間弱の滞在であったが、他に客はなく、貸しきりであった。地下水を沸かしていると思われ、口に含んでみるとやや甘い味がする。嬉しいことに塩素臭は皆無。加温のために循環しているようだが、塩素剤投入や湯量調節はオートマチックではない模様。かかり湯や石鹸流しで浴槽の湯を利用すると湯量が減って回復しない(笑)。まあ各種センサーで見張りつつ全自動で調節する今時の銭湯は、どうしても消毒臭がたってしまうので、私としては王寺湯の方式が歓迎である。
カランやシャワーもあるが、湯の供給がおぼつかず、どうしても浴槽内の湯を利用することになった。水は勢いよく出てくるのだが、湯がチョロチョロである。ボイラーの能力だろうか。あと、スチームサウナもぬるくて使いものになっていないと思われる。とはいえ、都会から近い新興住宅街のターミナル駅の前に、これほどのレトロな懐かしい銭湯が頑張ってくれているのはうれしい。ノスタルジーにひたりたい向きにもお勧めだし、消毒が弱いので「たまには足を伸ばして風呂に入りたい」という近隣の人にもお勧めできる。設備が心もとないことを除けば、下手な循環温泉よりもよっぽどいい湯が提供できていると思う。0人が参考にしています