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投稿日:2026年3月30日
天気が良い日、巣鴨駅からとぼとぼと歩き… (東京染井温泉 SAKURA (サクラ))
nbjjさん [入浴日: 2026年3月30日 / 滞在時間: 5時間以内]
44.0点

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55.0点

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44.0点

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33.0点

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33.0点
天気が良い日、巣鴨駅からとぼとぼと歩き出す。この「とぼとぼ」というリズムがとても大切だ。急いではいけない。自分の影を追い越さない程度の速さで歩く。すると、突如として露天風呂が現れる。本来、ビルに囲まれた山手線圏内で、素っ裸で空を見上げながらお湯に浸かるなんてことは、空飛ぶペンギンを探すくらい難しいことのはずなのに、ここではそれが当たり前のように存在している。実にもって、ありがたくて貴重なことである。
平日の昼過ぎ。この時間、世の中の多くの人は「生産性」という名の目に見えない怪獣と戦っているが、ここにはそんな怪獣は一匹もいない。ほどよい開放感。混んでいない浴室は、まるで自分だけの小さな宇宙のようだ。
お湯に浸かると、少ししょっぱい。この塩分は、はるか昔にここが海だった記憶なのか、あるいは誰かの日々の悔し涙が凝縮されたものなのかは定かではないが、この「しょっぱさ」を肌で感じ、サウナ室のあの妙にふわふわしたマットに足を沈めた瞬間、「ああ、私は今、SAKURAという名の惑星に無事着陸したのだな」という実感がわいてくる。
サウナから出て、二階に上がると、そこには休憩スペースがある。正直に言って、ここは狭い。そしてマンガの数も少ない。最初は「もっと最新作が全巻揃っていればいいのに」と、欲張りな心がひょっこりと顔を出す。しかし、ここで立ち止まって考えてみる。もし、ここに最新のマンガが壁一面に並び、広大なリクライニングチェアが何百台も鎮座してしまったら、一体どうなるだろう。きっと、そこは「静寂」の墓場となり、代わりに「欲望」と「執着」の巣窟になってしまうはずだ。
これは、人生における非常に重要なトレードオフというやつである。何かを得るためには、何かを諦めなければならない。静けさと、この場所ならではの快適さを守るために、あえてマンガを増やさない。この「引き算の美学」に気づけるかどうかが、大人と子どもの分かれ道なのだと思う。ここは、一日中マンガを読みふけって時間を潰すような、いわゆる「お子ちゃま施設」ではないのである。
食事を含めて、だいたい四時間。それくらいが、この場所に対する最高に「粋」な向き合い方だ。マンガの続きを気にするのではなく、風呂上がりにほんの少しだけ、なんの役にも立たないようなうたた寝をする。目が覚めたら、もう一度だけ湯船に浸かって、ぼーっとする。そして、まだ外の空気が明るいうちに、「じゃあ、また」と軽やかに施設を後にする。
長居しすぎず、未練を残さず、スマートに日常へと帰っていく。それこそが、現代における江戸っ子の姿である。2人が参考にしています







