-
加東市内にある公共施設。社会福祉センターの運営による施設の類は各地にあり、大概古いものでありながらもそれなりに大型施設で、利用者は地元の老人が大半であるため混雑しないのが常態。ここも同様で、弁当持参で来館してくつろぐ老人などおり、それなりに地元の老人を中心に利用されているように見受けられる。そもそも民間の入浴施設の類とは目的が異なり、活気よりくつろぎが主として求められる施設である。
そこで、利用されている温泉が良質で、利用方法も良心的であるならば、温泉愛好家には格好の穴場であるはずなのだが、残念ながら世の中そう甘くない。
他の同一系統の施設と較べれば、それなりに入浴設備は充実している。主浴槽の温泉浴槽に加えて打たせ湯、ジャグジー・ジェットの類、打たせ湯、サウナ、水風呂など600円の値段なりには設備は揃う。地元老人が銭湯代わりに利用するというのであればこれで充分、ただし、それ以上ではない。
個人的には露天風呂などあろうとなかろうとかまわないが、天然温泉を標榜するからには天然温泉を実感できる湯が満たされてほしい。こちらの浴室には天然温泉浴槽は一つだけ、比較的大きな浴槽で、天然温泉浴槽との記載がなければ入浴してみなければわからない。ナトリウムーカルシウム塩化物強冷鉱泉であるが、加温・循環・塩素消毒が施され、特別な浴感は何もなし。
循環とは申せ、かなり強度な食塩泉の特徴を残しているとの情報を得て、期待半分で赴いたところ、やはり期待を裏切られた。この程度の食塩泉ならどこにでもある。冷鉱泉ゆえに加温はやむを得ないけれど、循環と塩素投入で天然温泉の芳香などあるはずもなく、塩湯を沸かして塩素で臭いをつけた類の湯、湯量が豊富であるならば一部かけ流しで利用して源泉の良さを示すのは不可能なのかしらんと思う。例えば加温しない源泉を水風呂代わりに小さな浴槽に注ぐなどの芸当はできないものだろうか。
私の住む奈良県にある社会福祉センターの運営による箱物に付随している温泉施設も同様であるが、一つとしてまともな泉質のものはない。いやむしろ泉質云々より利用方法の問題である。この類の公共施設に源泉利用方法云々を言うのはないものねだりかもしれないが、岐阜県の海津苑などは随分と良心的な利用方法で源泉の良さを生かしている。
やろうと思えばやれないことはないはずである。豊富な源泉を生かした他にない温泉施設を造って「民業圧迫」となるほど集客するのも悪くはないのではなかろうか。1人が参考にしています