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投稿日:2011年4月11日
うばこ温泉はぽっかぽか! (姥子温泉 秀明館(うばこおんせん))
お風呂に入って、フー!さん
[入浴日: 2011年4月9日 / 2時間以内]
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小さいときから何度となく乗っている箱根のロープーウェイ。そこから良く見える姥子温泉の屋根。「ウバ」と言う言葉がわからなくて、音として、「ババ」につながる感じがして、子どものときの私の頭の中では「ババコ温泉」の赤い屋根(前は緑か、青だったような気がする)は、なんとなく気になる存在だった。あるとき(もう20歳は過ぎていたと思う)、家族の誰かに「ババコ温泉って良いのかな?」と聞いたら、「バッチイ」と言う返事が返ってきた。その頃たまたま電車で隣に乗り合わせた小田急線沿線にお住まいのおば様がたも、同じような感想を述べ合っていた。「ババコはバッチイ!」。私の頭にインプットされてしまった。
凡そ30年の月日がたって、私もそのおば様がたと同じような年になり、冷え性が進み、施設や清潔さよりも泉質を重視するように、成長・劣化してきた。祖母の法要の後、湖尻のホテルで夕食を待つまでの間に、どこか立ち寄り温泉に行きたいと思って、候補に挙がったのが、この「姥子温泉」だった。
「ババコはバッチイ」かどうか確かめてみようと、降りすさぶ冷たい春雨の中、ハアハアと上りつめて、出会ったのは静謐なレトロの空間だった。張り紙から、電灯、調度にいたるまで、大正、昭和の雰囲気をかもし出し、籐椅子が置いてある休憩の和室と脱衣所、注連縄のかかった浴室が一つにつながっている女湯。
加水もされてない熱めの源泉はなんとなく良さそうで、雨が2日ほど降った後は、注連縄の後ろの岩がちの壁面から水がザーザーと出てくるそうだ。この荘厳な空間にどのようにお湯が満たされていくのか見てみたい!豪雨のときは、湯がにごるのだろうか?目に効くという効能だから、もしかしたら、皆が清潔さに神経質になるのかもしれないと思いつつ、目をぱちぱちさせてみると、なんだかすっきりした感じ。目に効く温泉があるということは聞いていたが、まさか箱根のババコ温泉だったとは!バッチくはなかった。もっと早くこの温泉を知っていれば、、、、、。
ホテルに帰って、家族と話したときに、「バッチイ」と言った犯人は、その日法要をした祖母ではないかと思い当った。彼女は、父が若いとき、手術後の療養を湯河原の有名な療養源泉でさせずに、そこから取水し、加水して温度を下げた旅館でさせたそうである。そのほうが清潔だからという理由なのであるが、昔の人の生活の知恵なのだと思うとともに、潔癖症の祖母ならさもありなんと思ってしまう。
実は、もう没してから16年になるこの祖母の法要に私がわざわざ新幹線に乗って出席する必要はないのではと言う声があった。しかし、法要の日にちが決まった朝に、祖母が夢の中で、ニコニコ私に笑いかけたので、なんとなく変だなということで出席することになってしまった。もしかしたら、この温泉の効能を改めて教えたかったのかもしれないと今になると思ってしまう。その夜はずっと身体がぽかぽかしていた。
翌朝入ったホテルの浴室は元箱根の湯を引水しているようだが、これも、単純泉ではなく、何個かの泉質が書いてあったので驚いた。侮るなかれ箱根の湯!
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