りんごとアブラのコラボ温泉
[山形県] りんご温泉
今回の温泉探訪記ガイドはこの人
東京生まれ。温泉ソムリエ(マスター)。
交通事故の後遺症のリハビリで湯治を体験し、温泉に目覚める(知床にて、車でヒグマに衝突し頚椎骨折)。現在、総入湯数は1,500以上。
残暑の中にも秋の気配を感じる今日この頃。夏の終わりは少し寂しいですが、待っているのは収穫の秋。そして「りんご」の美味しい季節です。特に一大産地の東北地方では、有り余るほどのりんごが、毎年生産され、食べるだけでなく、お風呂に入れちゃう温泉施設もチラホラ…
今回は、そんな「りんご風呂」を楽しめる温泉のひとつ。山形県の「りんご温泉」をご紹介します。
最上川と朝日連峰を望む丘の上
山形市街から、西へ走ること約40分の場所にある朝日町。朝日連峰のふもとに位置し、町を最上川が縦断する、風光明媚な町です。
「りんご温泉」は、そんな絶景を望む丘の上に佇む公営の温泉施設。地元の農産物直売所も併設され、温かみのある木調の外観が特徴です。入浴料は、内湯・露天風呂含めて300円。東北地方全般に言えますが、都内では考えられない低価格で温泉を楽しめます。
内湯は広々としたつくり
男女別の内湯は、15人以上入れそうな広々とした正方形の浴槽。大きな窓からは、朝日連峰を望み、浴室内も明るく保たれています。
「りんご温泉」ですので、湯船にはもちろん「りんご」がプカプカ。夏前に訪れたため、旬な「りんご」ではありませんでしたが、「りんご温泉」らしさは抜群です。
ただ、名物の「りんご」がかすむぐらい強烈だったのが「アブラ臭」…浴室の扉を開けた瞬間から、さわやかな「アブラ臭」が漂ってきました。
りんごが負けそうなほどの強烈な個性のお湯
お湯は灰色と緑色が混ざったような、透明度30センチの濃厚な濁り湯。湯の中には、ワカメのような消しゴムカスのような、今まで見たことのない黒い湯の花も発見。タイヤのようなアブラ臭も充満しています。
ちなみに泉質は、ナトリウム-塩化物強塩温泉。舐めると塩辛く、煮詰まったみそ汁のような味です。肌触りはツルツルヌルヌルですが、ギシギシ感も同時に感じ、もったりと重たい浴感でした。
高台に位置する露天風呂
内湯のある建物とは別棟にある露天風呂。さらに高台への坂を登った先にあります。雪の深い時期は、閉鎖されることもあるという露天風呂。内湯よりも開放的な空間は、まさに絶景!山から吹く、気持ち良い風が心地よく、同時に濃厚な「りんご温泉」を楽しめます。
木村文乃さん出演の、JR東日本のCMに登場したこの露天風呂。CMでは雪景色でしたが、緑の時期も良いものです。
お湯の利用形態は、循環併用で加水・加温・消毒有りとの掲示でしたが、それでも「りんご」を凌ぐ、強烈な個性を残す「名湯」でした。