農家さんがコツコツと手作りした畑の中の秘湯は、泡付き抜群の良泉! 十割手打ちそばもオススメ。
[北海道] 黄金温泉
今回の温泉探訪記ガイドはこの人
カレーやどニセコアワグラス代表。
FMラジオニセコパーソナリティ。
日常的に地元ニセコの温泉に浸かっている病気知らずな元気人ですが、全国の温泉となるとまだまだ知らないところがたっくさん。得意なニセコエリアや北海道の温泉情報をお届けすると同時に、皆さんの情報を元に温泉ライフを充実させていきたい今日この頃。どぞよろしく!
北海道はニセコ町に住んでいる私にとって、温泉はもはや、あるのが当たり前の存在。しかも泉質豊富とくれば、今日はどこ行こう、明日はどこ行こうと、ナンとも贅沢な悩みを常に抱えているのである。
さて、そんな中、今回ご案内しますのは、同じニセコエリアで隣町の蘭越町にあります「黄金温泉」でございます。“こがね”と読みます。名前の由来は地名。蘭越町字黄金なので、黄金温泉。この温泉。農業を営む林さんが、もともとは農業ハウス用にと、平成6年に1,500万円を投じて掘削した温泉なのだ。出ちゃったお湯の泉質がいいもんだから、浴槽を作って家族で入ったり、そのウチに近所の人にも開放したりしたりと、施設そのものを林さん自ら手作りしながら徐々に拡張してきた。そんな林さんの心のこもった畑の中の秘湯なのである。
当初掘削して出た1号井は36℃程度と、泉温が低めだったために加温していたのだが、湯量確保のため、平成21年に新たに資金を投じて2号井をボーリングをすると、幸いなことに50℃ほどのお湯が出た。そのため現在は1号井と2号井を混合して浴槽に注いでいる。全浴槽において加温、加水ともに行っていない、正真正銘の源泉掛け流しである。
ちなみに営業は5月から10月までの期間限定。冬はやってませんのであしからず。
若干緑がかった色の内湯は、大きな窓のおかげで明るく開放感がある。
内湯は40~42℃くらいに保たれている。鉄分を多く含むため、ほんのり緑っぽい色をしている。洗い場は2つ。シャワーは1つある。掲載できる画像の枚数の関係でお見せできないのが残念だが、持ち込みのシャンプーなど置くための台は自転車の荷台を改造して使用していたり、床も排水の流れを考えて傾斜をつけていたりと、林さんのアイデアが満載なのだ。ちなみにシャワーから出るお湯も源泉を使用。シャンプーとボディソープは常備されている。
大感動の手作り庭園露天風呂!
内湯から外に出ると、この風景が待っている。コレもすべて林さんの手作りなのだ。
露天風呂はいちおう岩で仕切ってあるが、沖で50cmほどで男女がつながっている半混浴。私は十年ほど前からここに通っているが、最初はこの岩はなく、完全な混浴だった。しばらくすると露天の真ん中に物干し竿みたいなのが設置され、そこに毛布だか簾だったか布みたいなものを掛けて目隠しにし、なんとなく男女別に仕切っていた。そしてまたしばらくするとその布みたいなのが岩に変わり、行くたびに岩が積み上げられ、現在のようなところで落ち着いている。
半混浴の露天風呂は、内湯からのオーバーフローを使用しているため、ぬる目である。夏場などは問題ないが、秋などは外気温によってかなりぬるくなることもある。内湯との時間差もあり、色は黄褐色に進んでいる。露天風呂の脇にある五右衛門風呂風の1人用浴槽と、コンクリで固めた2人用の浴槽ともに、1号井2号井の混合泉を使用しているが、こちらは36~37℃と、内湯よりぬる目に設定しているとのこと。
オススメは、なんといっても露天風呂脇に置いてある五右衛門風呂風の1人用浴槽と、コンクリ製の2人用浴槽だ。どちらも浴槽の底の部分からブクブクとお湯が注ぎ込まれている。源泉を空気に触れさせずに注いでいるので鮮度も抜群。見ての通り、無色透明なのだ。
瞬時に体中がアワアワに!
1人用浴槽に体を沈めると、当然ながらジャバーっとお湯が溢れる。ナンとも贅沢である。と同時に、あっという間に体中が炭酸ガスの泡で包まれるのだ。遊離二酸化炭素の含有量は温泉1kgあたり241.7mgと、決して多くはないのだが、加温せず丁寧に注がれることで、これだけ残っているというわけだ。体温とほぼ変わらぬぬる目のお湯でありながら、炭酸の泡効果で湯上り後もいつまでも体はポカポカだ。羊蹄山やニセコアンヌプリを眺めながら浸かっていると、すっかり時間を忘れて長湯してしまうのである。
湯上がり後は十割手打ちそば!
この黄金温泉。お湯はもちろんだが、もうひとつオススメしたいのが、林さんが打つ十割手打ち蕎麦である。入浴前、受付でお金を払うときに一緒に蕎麦を注文しておけば、温泉から出る時間に合わせて、林さんが蕎麦を打ってくれるというものだ。蕎麦粉はもちろん、農家である林さんが育てたもの。品種は以前は牡丹だったが、今は北の摩周だそうだ。粘りがあって繋がりやすく、のどごしも良い。黄金温泉に行くときは是非時間を作って、温泉だけでなく十割手打ちそばも堪能して頂けたらと思う。
なお、温泉に入らず、この手打ち蕎麦だけでも食べることはできますが、その場合は手打ち蕎麦700円。また、温泉入浴だけだと400円ですが、入浴と一緒に蕎麦を注文すれば、セットで1,000円と、ちょっとお得になりますよ。
林さん夫婦も高齢なため清掃等はなかなか大変だそうだが、それだけに、感謝の気持を持って利用したいものです。
■泉質(混合泉):ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉(低張性中性温泉)
■源泉温度:40.8℃
■湧出量:-
■ph値:6.7
これはスゴイ!
トムさんならではの情報ですね。
二酸化炭素泉でも加温・循環などにより泡がつかないものも多いのに、これアワアワはスゴイ!
十割手打ちそばも含めてすべてが「自然」ですね。
北海道に行かねば!