人気が有り過ぎて予約が取れない「元祖」秘湯の温泉宿
[秋田県] 鶴の湯温泉
今回の温泉探訪記ガイドはこの人
温泉ソムリエのイカ燻です。
泉質に関わらず個性的な温泉に興味があり、噂を頼りにあちこち出没しています。
温泉ソムリエ認定セミナーの東京会場でお手伝いさせていただいています。
ソムリエタオルで鉢巻している私を見かけたら、お気軽にお声掛け下さい。
某新聞社のアンケートでは毎年「泊まってみたい温泉宿」の首位に君臨する人気のお宿。そして実際に泊まってみると、「日帰り利用」と「宿泊利用」の違いにビックリ仰天するお宿でもあります。一度宿泊してしまうと次も「必ず泊まりたい」とリピーターになるので、いつも満室で予約が取れない人気宿になっているんですね。
特に冬場はフォトジェニックな温泉でもあります。屋根から下ろした雪をかまくらに仕立て、夜はロウソクの明かりで道を照らします。これが見られるのも宿泊客の特権でしょう。
4種の源泉が掛け流しで!
日帰り入浴で利用できるのは混浴大露天と女性用露天、それに露天をとりまく湯小屋にある男女別浴の中の湯、滝の湯、黒湯、白湯となっています。4種の源泉を楽しめるわけですが、週末ともなれば朝から大混雑。大露天など満員電車並みの芋洗い状態になるわけで、お湯を楽しむという状態ではありません。露天の周囲など「裸族の村祭りか!」と思わせる状況になる事もしばしば。
日帰りで行くのであれば、週末は避けた方がいいでしょう。ベストな状態のお湯、特に足元湧出の大露天を楽しむのであれば、火曜日がベストです。大露天は毎週月曜日にお湯を抜いて、底の玉砂利を洗います。このため月曜の日帰り時間は内湯しか使えません。夕方には湯がたまりますが、まだ酸化が進んでいないので透明な状態。一晩おいて火曜日になると、あの白い湯を満たした大露天が現われます。
宿泊者には更なる愉しみが!
日中の賑やかさも午後3時まで。宿泊者専用の時間となると、温泉は静けさを取り戻し、落ち着いた雰囲気に様変わりします。それと言うのも客室の数が少ないのに、浴槽の数が男女合わせて13もあるのですから。日帰り入浴では利用できない内湯が1号館と新本陣、そして常連客の間では「隠し露天」と呼ばれる渓流沿いの小さな露天が東本陣の手前にあります。
この小さな露天が案内されていないのは、冬場に大露天の温度が下がると、あちらの給湯量を増やすために閉鎖されてしまったり、常に利用できるとは限らないからだそうです。
隠し露天へは1号館から東本陣へと続く廊下の途中で、ガラス戸を開けて縁側に下り、階段を下りた渓流沿いにあります。簡単な脱衣所がありますが、このあたりは東本陣からは丸見えですので、女性のご利用にあたっては事前によく確認してくださいね(笑)
夜は大きな露天も貸切状態!
名物の山の芋鍋や、囲炉裏で焼いた川魚、周りの山で採れたキノコや山菜など、美味しくてヘルシーな夕食の後、心行くまで温泉を楽しめるのが鶴の湯の醍醐味。なぜなら足元湧出の大露天は、数か所ある湧出ポイントでの泉温が40℃から44℃ほど。それが浴槽を満たしますから、湯温は37℃から40℃くらい。ほとんど「不感温度帯」に近いぬる湯なので、どれだけ長湯をしてものぼせないのです。
そして何より人が少ない。テレビも無い秘湯の宿ですから、夕食の後は一杯飲んで早目に休まれる方が多く、夜も10時を過ぎればどの風呂も貸切状態となります。昼間の混雑時からは想像もつかない、穏やかな温泉タイムが味わえます。
泊まるなら、やっぱり本陣が・・・
毎月1日の朝に根気よく電話をすれば、6カ月後の予約が取れます。なかなか部屋の場所までは選べませんが、運良く本陣が取れればラッキーです。どの風呂に行くにも、外を歩かなければならない不便さはありますが、囲炉裏のある部屋で自在鈎に吊るした鉄鍋から山の芋鍋をいただき、串を打った川魚を焼きながらの部屋食が楽しめるのは最高です。(本陣以外のお部屋は広間での集合食となります)
本陣のお部屋はこんな感じ。毎年打ち直すという綺麗な畳で、常に清掃が行き届いています。茅葺屋根でテレビも鍵も無い部屋ですが、各部屋の奥には暖房便座付のウォシュレットもあり、静かな時間を快適に楽しめるサービスが提供されています。
伝説のイカ燻さんの7時間入浴!
この名旅館を一番よく知っているのはイカ燻さんですね♪