『姥湯』という名の絶景混浴露天風呂
[山形県] 姥湯温泉 桝形屋
今回の温泉探訪記ガイドはこの人
趣味は食材採取の旅に出ること。それに温泉が付けば完璧。お風呂はちょっと熱めが好きだが、すぐのぼせてしまうタイプ。
山形県の山奥に、開湯から500年近い歴史を誇る、姥湯(うばゆ)温泉という絶景の混浴露天風呂があるという。
「姥」という文字に秘められた謎とは、一体何なのだろうか。
山姥から託された温泉、姥湯温泉
絶景の秘湯があると聞き、山形県米沢市にある姥湯温泉に向かった。この日は残念ながら雲が掛かっていたが、晴れた日なら今日以上の絶景が観られそうだ。
この姥湯温泉には、こんな伝説が残っている。天文2年(1533年)に、鉱山師だった遠藤大内蔵が鉱脈を求めてこの地へやって来ると、露天風呂に髪の長い女性が入っていた。
こんな山奥で女が湯浴みとはと驚き、恐る恐る近づけば、なんと赤ん坊を抱いた恐ろしい形相の山姥だったのだ!
思わず逃げ腰になった遠藤大内蔵だが、山姥は「鉱山師などやめて、この湯の湯守にならんかい」と云い残し、赤ん坊もろともどこかえ消えてしまった。
山姥の言葉通り、遠藤大内蔵はこの湯を姥湯と名づけて開湯し、のちに桝形屋を開業。現在の当主で17代目になるそうだ。
絶景の混浴露天風呂
500年近い歴史を誇る秘湯とは、一体どんな温泉なのだろうか。
露天風呂は女性専用と混浴があり、まずは手前の女性専用へ。もちろん誰も入っていないことをスタッフの方に確認していただいているのでご安心を。
ここのお風呂がすごかった!
ゴツゴツとした岩に囲まれた露天風呂には、南国の海をイメージさせるようなコバルトブルーのお湯。もちろん源泉掛け流し。
山に登りすぎて、そのまま現実世界から離脱してしまったのかと思うほどの美しさなのである 。
この世とは思えない混浴露天風呂
続いてこの上にある混浴露天風呂を目指す。
そこにはこの世とは思えない不思議な景色が広がっていて、これに晴天と紅葉が重なったらと思うと、想像しただけでうっとりしてしまう絶景だ。
混浴露天風呂があるのは、これより先は人間の気配が全くしないという、この世の果てといってもいいような場所。
残念ながら日ごろの行いが悪いためか、山には雲が掛かってしまってたが、むき出しの岩肌の迫力がすごい!
こんな山間の温泉に、老婆が赤子を抱いて湯浴みしていたのだから、初代当主の遠藤大内蔵さんも、さぞかし驚いたことだろう。
源泉を見に行ってみた
さてこの山の中にある温泉は、一体どこから湧いているのだろう。
せっかくなので、お湯の流れを遡ってみると、姥湯温泉のお湯が沸いていたのは、なんと山の斜面だった。
温泉というと、地下深く掘ったところから湧き出るイメージがあるけれど、ここの温泉は岩肌から湧水の如く出ているのだ。何百年もお湯が出続けているなんて、あの岩山の中は、いったいどうなっているのだろう。
こんな素敵な秘湯なのだが、一点だけ問題がある。それは雪深い場所にあるため、冬場の営業ができないということ。