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北海道上川郡下川町の市街地から南へ約6kmの山間に佇む、ログハウス風の外観をした五味温泉の一軒宿。明治35年(1905年)の冬、五味さんという方が雪原に一ヶ所だけ雪が積らない場所に鉱泉が湧き出るのを見つけ、宿を開いたことから五味温泉というのだとか。その後、企業の保養所になったり、一時閉鎖や増改築を経て、現在では公営の温泉宿泊施設となっています。平日に、一泊二食付で利用して来ました。
この日は、別館2階の8畳和室に宿泊。トイレ共用(本館はちょっとだけ高くてトイレ付)で、窓の外には針葉樹林を望む景色。夕暮れ時の到着でしたが、既に布団が敷かれていました。
早速浴衣に着替え、玄関から右手に進んだ突き当たりにある、男女別の大浴場へ。棚にプラ籠と100円返却式ロッカーが並ぶ脱衣場には、ドライヤーも完備。浴室に入ると、左側に9人分のシャワー付カランと、衝立の向こう側に3人分のカランがある洗い場。アメニティは、一般的なものです。
窓際にタイル張り石枠内湯が2槽あり、奥が16人サイズ「大浴槽」で湯温42℃位、真ん中に6人サイズ「中浴槽」で湯温は43℃位。また同じ並びに、外に設置された6人サイズの岩風呂「露天風呂」があり、湯温は41℃位。森の景色が望めます。しかしながら、これらはいずれも白湯(水道水)です 。
温泉は右側奥の7人サイズの石造り内湯のみで、緑褐色に濁った含二酸化炭素ーナトリウム・マグネシウム・カルシウムー炭酸水素塩泉(源泉名: 五味温泉)が満ちています。泉温14.1℃を、加水なし・加温ありで42℃位で供給。PH5.8で、ややキシキシする浴感です。循環・消毒ありですが、塩素臭は気になりません。浴槽の隅に飲泉湯口があり、微かに土類臭がして少苦味炭酸味。まったりしてたら、少し泡つきも見られました。
この時は日帰り入浴客が多く訪れていましたが、日帰り入浴できるのは夜10時まで。休憩室が三ヶ所もあり、日帰り客にも優しい点は流石公営です。一方、宿泊客は一晩中入れるのがいいですね。
夕食は、1階の食事処「りんどう」で。お品書き付で、前菜に温泉玉子・枝豆豆腐・茄子の素揚げ。刺身は、鮪・ハマチ・帆立・牡丹海老が出ます。山の中なのに、牡丹海老が新鮮。天婦羅は、海老・茄子・インゲン豆・南瓜・帆立・椎茸と山女魚。山女魚は変わってますが、できれば塩焼で食べたかった。陶板は鮭のちゃんちゃん焼きで、帆立や海老も入っています。台物のメイクイーンのグラタンは熱々で旨く、思わず生ビールを追加。最後の寿司は小さなちらし寿司で、鮪・ハマチ・甘海老の他、イクラも乗っていて満足。浅蜊と三つ葉の吸物も美味しかったです。
翌朝も、しっかり朝風呂へ。温泉浴槽には、白い膜のような結晶が浮き、昨晩と違って緑白色の濁り湯に。湧出量は少ないのかも知れません(分析表に記載なし)が、自然湧出の湯のポテンシャルは侮れません。すぐ前にサウナ用の水風呂もあり、交互浴しながら朝一は貸切状態で存分に楽しめました。
朝食は、昨晩と同じ食事処で。鮭の塩焼主菜の和定食で、こちらはいたって普通でした。観光で訪れる人には日帰り入浴より、リーズナブルに泊まれる湯宿としての方が利用価値が高そうです。
主な成分: ナトリウムイオン231.3mg、アンモニウムイオン1.2mg、マグネシウムイオン110.6mg、カルシウムイオン111.4mg、マンガンイオン0.4mg、第一鉄イオン6.2mg、フッ素イオン0.1mg、塩素イオン138.1mg、硫酸イオン28.8mg、炭酸水素イオン1281mg、炭酸イオン0.1mg、リン酸イオン0.8mg、メタケイ酸111.8mg、メタホウ酸53.1mg、遊離二酸化炭素1809mg、遊離硫化水素0.3mg、成分総計3.915g
※なお、平成20年の分析書だったので、間もなく更新かも知れません。22人が参考にしています