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随分前だが、ここ「天人閣」の日帰入浴を企てていた折、「日帰入浴中止」といったホームページ案内を見て断念した経緯がある。旅館業に徹するならそれでも良いだろうが、温泉のもつ公共性を考えるならば、「日帰りお断り」は傲慢な態度にも見える。実際、私が温泉との付き合いを深めるきっかけになったのも、日帰り入浴を受け入れてくれた数多くの温泉宿があったおかげだし、宿泊する機会が増えた今でも、そのような温泉宿には好感を抱いている。(宿泊客の立場になると優遇されるのも悪い気はしないが、そのような宿に限ってたいした温泉ではないことが多い気がする)
さて、「天人閣」というとそういう印象が強くて前置きが長くなってしまいましたが、紆余曲折を経て今は日帰りを受け入れているようです。
初めての利用が宿泊ということで、温泉だけでなく施設全体、接客、料理にも目がいってしまいますが、まず施設のくたびれ感が甚だしく、利用する側も少し悲しくなってしまう雰囲気があります。鄙びた建物は大好きなのですが、そのような範疇には入らない類のもので、もうどうすることもできません。
一番やってもらいたくなかったのが、皆さんの口コミにもある浴場の処理方法。石を敷き詰めたり、お湯を抜いたまま廃墟同然の空間が同じ浴場内に存在すること自体、利用する者を悲しい気持ちにさせる。コストカットのためか、湧出量の問題かは知りませんが、せめて「見せない」工夫をしてほしかった。
と、好き勝手なことを言えるのは利用する側だけであって、経営している側がそれどころではないだろうな、と宿滞在中ずっと考えていました。
取り壊してサイズダウンすることもできず、朽ち果てるのを待つのみなのか?
訪問時、春先からの雪解けの影響で羽衣の滝への遊歩道が閉鎖されていた。唯一とも言える観光資源がこの有様ではさぞかし宿もつらいと思う。
宿のスタッフの方はとても印象が良く、温泉と周囲の環境にも恵まれているだけに、もっと魅力的な温泉地にするための取り組みを官民上げて取り組んでほしい。6人が参考にしています