コテコテの析出物が美しい「秘湯を守る会」の宿!
[群馬県] 八塩温泉 神水館
今回の温泉探訪記ガイドはこの人
東京生まれ。温泉ソムリエ(マスター)。
交通事故の後遺症のリハビリで湯治を体験し、温泉に目覚める(知床にて、車でヒグマに衝突し頚椎骨折)。現在、総入湯数は1,500以上。
群馬県と埼玉県の境を流れる神流川。八塩温泉は、その河畔に湧く温泉です。住所でいうと、ぎりぎり群馬県。古くから「塩の湯口八ヶ所」と呼ばれ、地元では親しまれている名湯です。現在は、3軒の温泉宿からなる小さな温泉地。今回は「日本秘湯を守る会」の会員宿でもある「神水館」をご紹介します。
昭和28年築の重厚な外観
「八塩温泉 神水館」は、本庄児玉インターを降りて、田んぼ道を走ること約20分。山あいののどかな場所に建っています。創業は昭和6年。現在の建物は昭和28年築と、長い歴史を誇ります。残念ながら、お伺いした日は建物の補修中。それでも風情漂う重厚な外観は、都会との喧騒から一線を画す圧巻の雰囲気です。
大きな窓の明るい大浴場
高級な調度品に囲まれた、大正ロマン溢れる素敵な館内を抜け、大浴場へ。
女湯が「赤鬼」、男湯が「青鬼」とユニークなネーミングの大浴場は、それぞれ内湯のみ。浴槽は2つあり、湯温15.5度の源泉を加温循環した大浴槽と、冷鉱泉の源泉をそのままかけ流した源泉浴槽からなります。大きな窓で浴室内は明るく、石張りの床や壁は、館内同様大正ロマン風のレトロな雰囲気です。
微炭酸塩サイダーな源泉
泉質は、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉。湯温15.5度の冷鉱泉で、成分総計が15.7グラムの高張性です。そのため、加温浴槽は、加水・循環ろ過・塩素消毒有りで、無色透明の薄塩味のお湯ですが、源泉浴槽は抜群!冷鉱泉の源泉が、加水も加温も消毒もない、そのままのかけ流し。薄く黄茶に濁った色で、浴槽の下とお湯の表面には、黄土色の湯の花のたくさん見てとれます。そして、湯口と浴槽のふちには、コテコテに析出物がこびり付き、まるで芸術作品のように美しい光景。
遊離二酸化炭素は915ミリグラム含まれ、飲んでみると、濃いめの塩ダシ味の中に、ピリッと炭酸を感じ、微炭酸の塩サイダーを飲んでいるかのようで美味しかったです。そんな美味しい源泉は料理にも使用され、夕食には源泉で炊いたご飯、朝食には、源泉湯豆腐等を食べることができます。
混浴の露天風呂
神水館には、大浴場とは別に露天風呂もあります。
こちらは1ヶ所のみで、混浴となっています。無色透明のお湯は、加温循環した温泉のようですが、内湯に比べると温泉らしさが感じられないのは残念なところ。しかし、神流川を眺めながらの湯浴みは、また格別です。無色透明なので、他人同士の混浴にはハードルが高そうですが、内湯のみの大浴場とは違った、岩風呂のワイルドな雰囲気を堪能できます。