疲れて入ろう!山奥の適度なトレッキング温泉!
[栃木県] 三斗小屋温泉 煙草屋旅館
今回の温泉探訪記ガイドはこの人
東京生まれ。温泉ソムリエ(マスター)。
交通事故の後遺症のリハビリで湯治を体験し、温泉に目覚める(知床にて、車でヒグマに衝突し頚椎骨折)。現在、総入湯数は1,500以上。
疲れたときに入る温泉って気持ち良いですよね!特に運動後、重くなった身体をお湯に浸せば、ジワーっと疲れが癒されていくあの感覚。最高です。このように適度に疲れて入る温泉は、普通に入るより何倍も気持ち良いです。そして、誰でも簡単にできる運動といえば「歩くこと」です。今回は、適度に疲れて最高の湯浴みを体感できる、歩いてしか行けない山奥の秘湯「三斗小屋温泉」をご紹介します。
那須高原温泉郷の最奥
「三斗小屋温泉」は栃木県・那須高原温泉郷の最奥に湧く温泉。日本百名山・茶臼岳の北西に位置します。温泉までのルートはいくつかありますが、どれも徒歩のみ。最短ルートで、約2時間のコースです。そのコースであれば、比較的アップダウンが少なく、初心者でもそれほどきつくありません。ただ、相手は大自然ですので、トレッキング以上の装備は、不可欠です。登山コースだけに、景色も最高!那須ならではの風景に心満たされます。
山奥にポツンと現れる三斗小屋温泉
緑生い茂る森林地帯を歩いていると、突然建物が現れます。そこが「三斗小屋温泉」。ケータイはいずれも圏外で、郵便も届かないホンモノの秘湯です。現在は2軒の宿が営業しており、今回は「煙草屋旅館」にお世話になりました。外観は、旅館というより山小屋と言う方が似合います。どことなく鄙びていて、風情も抜群。森と一体化する建物と、自然の音しか聞こえないその空間は、幻を見ているかのような不思議な気分でした。
湯治場的風情の内湯
お風呂は混浴の共同浴場と女性専用浴場、宿から少し歩いたところにある混浴露天風呂の3つ。混浴は、どちらも女性専用の時間帯も設けてあります。泉質は、全て単純温泉ですが、3つのお風呂とも源泉が異なり、それぞれ個性も異なります。
内湯の混浴共同浴場は、大きな窓に木の床の「ザ・湯治場」といった雰囲気です。8人ほどが入れそうな浴槽に、源泉が惜しげもなくかけ流され、トレッキングで疲れた身体が一瞬で癒されます。ここは無色透明でクセのない単純泉。浴槽内も適温で、ボーっと浸かっていると、お湯に包まれる感覚が夢心地です。
ちなみに、僕は入れませんが、女性専用浴場のお湯は、ほのかに濁った金気臭のある単純泉だそうです(そっちも入りたかった…)。
絶景の露天風呂
露天風呂は、建物から少し登った高台にあります。そのため景色は最高!晴れていれば、遠く福島の会津駒ケ岳が見渡せ、夜は満天の星を望めます。
お湯は、単純温泉とは思えないほど個性的。少し黄色がかっていて、舐めると酸っぱく強烈な自己主張があります。分析書を見ると、pH3.5の弱酸性。湯温も熱めで、刺激的な湯浴みを楽しめます。
お客さんのほとんどが登山の方。夕食が16時半からで21時に消灯。朝は6時半にごはん、という山小屋時間がとても新鮮でした。山の天気は変わりやすく、午前中は晴れていても、夕方は土砂降りというのが日常茶飯事。温泉目当てなら、早めのチェックインがおすすめです(登山を楽しんでから来られる方が多いので、早めならお風呂を独泉できちゃいます)。やっぱり、疲れた後に入る温泉は格別でした!