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奥能登の珠洲市、雑木林に囲まれた奥に佇む、広谷鉱泉の一軒宿。平日に、一泊二食付で利用しました。客室はわずか3室で、予約は電話のみ対応。平日の為か、数日前の連絡で予約できてラッキーでした。
事前情報では、「とにかく何もない」という事だけ。まず到着したら、玄関の銅鑼を鳴らすと、宿の若女将が出て来ます。「2階の左側の部屋です」「お風呂はもう入れます」「食事は18:30~です」そう告げただけで、記帳もなく、他の案内もありません。
この日は、6畳和室に宿泊。テレビ・トイレ・部屋の鍵もなし。文机のみで、シンプルな設えです。布団は既に敷かれ、電気スイッチはソケット部に。エアコンもなく、あるのは扇風機と団扇だけでした。
さて、風呂はどこだろう?浴衣に着替え、板張りの廊下を玄関と反対方向に歩いてみます。突き当たりに、小さな「浴室←」の表示。左折して更に進んだ奥に、浴室が左右に2つあります。
左側の石造りの浴槽には湯がなかったので、右側の浴室へ。棚に竹篭が置かれた脱衣場で、ドライヤーなし。浴室に入ると、2人分のシャワー付カランがある洗い場。アメニティは、固形石鹸とシャボン玉社製のシャンプー&リンスです。
窓際に、2人サイズの木造り漆塗浴槽。蓋を外すと、うっすら茶濁した緑礬泉(源泉名: 広谷鉱泉)が満ちています。泉温17.0℃を、加温して42℃位で供給。カランを捻り、湯温は自分で調整できます。さらりとした浴感。口に含むと、鉄臭がして微甘味。分析書なく、詳細不明です。窓からは、情緒ある竹林の景色。虫の音だけが、響き渡っていました。
夕食は食事処で。この日は、自分の他に常連さん御夫婦が一組。1つのテーブルを囲む為、自然と会話が始まります。というか、この常連さんから主に宿の情報収集。お品書きはなく、料理は子供が運んでくれます。
白和えと鮑のスモークに始まり、次に焼豆腐と茄子の煮物。車海老頭と獅子唐の天婦羅が出て、ビールがすすみます。椀物は、車海老と冬瓜の生姜風味。赤烏賊と太刀魚の昆布〆と、地の食材を活かした料理がどれも美味い!! 最後に蛸のアヒージョと焼オニギリが出て、デザートは桃のコンポート。量は少なめでも、お腹一杯になりました。
食後は、離れのゲストハウスへ。ここだけエアコンがある為、とても快適です。CDを聞きながら食べる、黒糖こげパンが旨い! コーヒー類も飲み放題で、寛げました。
お風呂は一晩中入れますが、朝食前の午前8時迄なので注意。朝は、ニワトリの鳴き声で目覚めます。朝食は、昨晩と同じ食事処で。小海老入りガンモドキや、胡瓜の胡麻合え、太刀魚の味噌焼きが美味しかった。
何もないのに、ここにしかない豊かな時間を過ごせます。是非また訪れたい、小さな隠れ宿ですね。41人が参考にしています