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歓楽色の全くない閑静な温泉地である、奥三河の湯谷温泉。その中心地に佇む、平成6年に開業した客室数わずか5室というこじんまりした湯宿。漢方薬膳料理が評判の宿でもあります。平日に、一泊二食付で利用して来ました。
昭和初期に建てられた木造三階建ての数寄屋造りの風情ある建物を、ノスタルジックな部分はそのままに現代風へと改装。チェックインの際、蓮の葉と緑豆をブレンドしたお茶と茯苓入りの揚げ菓子でおもてなし。初めて体験する本格的な薬膳料理を前に、期待で胸が膨らみます。
この日は、2階の7畳広縁付和室「音」の間に宿泊。炬燵があり、窓からすぐ下の湯小屋と板敷川(宇連川)のせせらぎを望む景色。早速作務衣に着替え、1階の男女別浴室へ。 内湯と露天風呂を、男女入替で使います。男性は内湯でした。
棚に籐籠が並ぶ狭い脱衣場には、ドライヤーも完備。浴室に入ると、左側に2人分のシャワー付カランがある洗い場。アメニティは、アロマドールのダージリンティー系です。
窓際に5人サイズのタイル張り内湯があり、うっすら茶褐色に濁ったナトリウム・カルシウムー塩化物泉(源泉名: 湯谷温泉 7号泉)が、かけ流しにされています。泉温34.8℃を、加温して41℃位で供給。さらりとした浴感です。加水・循環なしですが、消毒はあり。湯口の湯を口に含むと、微塩素臭がしてちょっぴり塩味を感じるまろやかな味。窓から川のせせらぎを眺めつつ、貸切状態でまったりできました。湯上りに、冷えた柚子蜜や五穀茶が用意されていて嬉しいです。
お待ちかねの夕食は、1階の別室でお品書き付の漢方薬膳懐石料理に舌鼓。食前酒は5種類の漢方薬を使った老酒に始まり、前菜は豚肉や海老・胡桃・インゲン・キクラゲをキャベツの上に盛り付けたサラダ。鶏胸肉のスープに続き、紅花入り海老の炒め物、赤魚の蒸し物が熱々で美味い。注文した地酒「蓬莱泉」がすすみます。ダチョウ肉の煮込も、初めて食べたがクセもなく美味。菊花を散りばめて食すと、解毒作用があるのだとか。ここで料理長からのサービスとして、ゴーヤとベーコンのトウチ炒めを頂きます。地酒「蜂龍盃」を追加。卵白と貝柱の炒め物は真珠の粉が入っていて、見た目はポテサラだが想像を超えた旨さ。チンゲン菜の炒め物には、キクラゲと金針菜という珍しい野菜も添えられています。烏骨鶏のスープ、漢方トシン入り炊き込み御飯が出て、甘い羅漢果のお茶と白キクラゲとフルーツのデザート、タンポポコーヒーを頂いてお腹一杯。体に良い漢方で、しかも美味しく酒もすすんで、とても満足できました。
翌朝は、男女入替えとなった露天風呂へ。棚に木箱が並ぶ脱衣場には、ドライヤーも完備。浴室に入ると、右側に3人分のシャワー付カラン(外にも1人分)がある洗い場。アメニティは、内湯と同じものです。4人サイズの木造り浴槽があり、湯温は41℃位。川のせせらぎを間近に眺めつつ、朝湯をまったりと楽しめました。
朝食は、1階の昨晩とは違う別室で。梅ジュース、鰆の味噌焼き、金針菜の胡麻和え、野菜蒸しがあり、薬膳スープと黒米粥・チマキも旨い。手作り豆腐は、客の目の前で紅花と苦汁を木桶に入れて作られます。全部食べれるか心配な大きさですが、大丈夫ペロリでした。食後に漢方ゼリーとタンポポコーヒーを頂きながら、チェックアウトまでのんびりできました。
今回は薬膳ということでしたがどれも美味しく、これなら年に一度以上は体の内側からデトックスも良いかもと思えたほど、料理は高得点です。一方温泉は、小さな内湯と露天風呂を男女入替えで使うので、正直規模が小さいのが難点。ところが宿泊者は、姉妹館の「はづ別館」と「湯の風HAZU」の大浴場にも無料で朝晩入れるので、実は湯巡りできて体の外からもデトックスもできるという優れものでした。
主な成分: リチウムイオン2.4mg、ナトリウムイオン622.6mg、アンモニウムイオン0.5mg、マグネシウムイオン8.2mg、カルシウムイオン422.6mg、ストロンチウムイオン11.1mg、バリウムイオン0.1mg、マンガンイオン0.2mg、第一鉄イオン1.9mg、フッ化物イオン3.1mg、塩化物イオン1672mg、臭化物イオン3.8mg、ヨウ化物イオン0.2mg、硫酸イオン0.2mg、炭酸水素イオン62.8mg、メタケイ酸45.4mg、メタホウ酸23.3mg、遊離二酸化炭素4.2mg、成分総計2898mg21人が参考にしています