-
2008年12月に宿泊しました。私たちが宿泊した日はほぼ満室だったようです。ここでのクチコミがあまりによくないので、宿泊を躊躇しましたが、やはり白銀屋に惹かれるものがあったので思い切って宿泊しました。
宿の前に車を停めると、すぐに宿の方が出迎えてくださり、ロビーに案内されました。さすがに歴史のある宿だけに風格があり、梁の立派さに驚かされます。受付を済ませて部屋へ通されました。部屋はクラッシック、茶庭2階の標準的な部屋です。建物が古いだけに室内も古めかしく、贅沢さはないものの、落ち着いた雰囲気です。外は翌日には雪になる冷たい雨が降っていましたが、予め暖房してあったらしく、室内は暖かでした。案内の係の方がお茶を淹れてくださいましたが、ティーバックではなく、おいしいお茶でした。
夕食前に茶室のある庭に面したロビーラウンジに行きました。ここでお抹茶とお菓子をいただきました。(宿泊者に無料で振舞われます)本当なら茶室でいただけるそうなのですが、この日はあいにく雨だったのでラウンジになっていました。残念。
夕食は食事処でいただきます。料理の出てくる間合いがやや長く感じられましたが、内容的には満足できました。ただ、前日宿泊した宿の料理が絶品だったので、そこと比べると、やや遜色があるように感じました。
もっとも満足できたのは温泉です。山代温泉には総湯を取り囲むように旅館が立ち並ぶ「湯の曲輪(ゆのがわ)」と町並みがあり、白銀屋はその「湯の曲輪」を形成する宿の一つです。なんでも山代温泉は早くから宿に内湯が導入されたのですが、当初は松の木で配湯管を作っていたため遠くに湯を運ぶことができず、必然的に総湯を取り囲むように宿が立ち並ぶことになったそうです。その後、多くの旅館が建ちましたが、「湯の曲輪」を形成する宿には総湯の湯を優先的に配湯する伝統は残ったそうです。白銀屋は宿の規模が大きくないので、湯舟もこじんまりとしていて、豊富に供給される湯を放流式で利用しています。二つの浴場が時間交代制で男女入れ替わりますが、どちらの湯も新鮮で、気持ちよく湯浴みを楽しむことができました。
接客面でも十分満足しました。ただ、従業員のほとんどが若い人で、かつてこの宿の感じられたという「伝統の積み重ね」というものがどこまで継承できているのかはわかりません。少なくとも接客面では「特別な宿」という印象は受けませんでした。とはいえ、若い人たちは一生懸命仕事に取り組んでいて、そのひたむきさがこちらにも伝わってきます。その点はたいへん気持ちよく感じました。
経営者が変わって、評価が分かれているようですが、私たちにとっては総合的に十分満足できる宿でした。1人が参考にしています