タイル画が素敵!熱海の昭和レトロな共同浴場!
[静岡県] 熱海温泉 山田湯
今回の温泉探訪記ガイドはこの人
東京生まれ。温泉ソムリエ(マスター)。
交通事故の後遺症のリハビリで湯治を体験し、温泉に目覚める(知床にて、車でヒグマに衝突し頚椎骨折)。現在、総入湯数は1,500以上。
都内から身近な熱海温泉。歓楽的な要素が強く、大型の旅館やホテルの多いイメージですが、古くから地元の方に愛される共同浴場も健在です。
大型の温泉施設は、大浴場等の設備こそ豪華ですが、湯遣いの良さや風情を考えると、共同浴場の圧勝ではないでしょうか。どちらを選ぶかは好みですが、温泉マニア的には、そんな共同浴場に惹かれるところ。今回は、そんな熱海の共同浴場「山田湯」をご紹介します。
狭い路地の先にひっそり佇む「山田湯」
「山田湯」があるのは、賑やかな温泉街から少し離れた住宅街の中。JR熱海駅からは約2キロの距離です。
車がやっと1台通れるぐらいの狭い路地の先。白い外観の民家の一角に、「山田湯」がひっそりと佇みます。温泉とわかる看板やのれんはなく、扉のガラスに「男湯」「女湯」とさりげなく書いてあるだけ。一見わかりづらい外観が、秘湯感を高め、マニア心をくすぐります。
熱海の共同浴場には珍しく、駐車場を完備。山田湯までの道は狭いですが、駐車場は広く安心です。
昔ながらのシンプルな脱衣所
昭和30年代から続く山田湯は、文字通り山田さんが営む民間の共同浴場。料金は300円。入り口の番台で支払い、さらに扉を開け脱衣所へ。
外観同様、白を基調とした明るい脱衣所は、棚があるだけのシンプルな空間。無機質ですが、どこか暖かみのある雰囲気は、昔ながらの学校の体育館のような懐かしさです。
レトロなタイル張りの浴室
男女別の浴室は、レトロなタイル張りの明るい空間。湯船は3人サイズのコンパクトなものがひとつと、こちらも外観・脱衣所同様、シンプルなつくりです。シャワーはなく、カランのみの洗い場も、レトロ感たっぷりです。
湯船の上には、富士山と水車小屋の描かれた素敵なタイル画があり、シンプルな浴室の中で目を引く、良いアクセントとなっています。
無色透明、新鮮な熱海の塩化物泉
湯遣いの良さが、共同浴場に惹かれる理由のひとつ。山田湯も例に漏れず、素晴らしい湯遣いの共同浴場です。
泉質は、カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉。源泉温度56.2度のため、多少の加水こそありますが、湯遣い良くかけ流しでの利用です。湯量もかなりのもので、浴槽内は常に新鮮。オーバーフローもかなりのものです。
無色透明なお湯は、ツルスベ感とキシキシ感を同居するやさしい肌触り。しばらく浸かっていると、肌を包み込むような感覚が化粧水のよう。特徴的な香りはありませんが、舐めるとほのかな甘味と塩ダシ味を感じ、湯上りはさらさらポカポカ。タイル画を眺めながらの湯浴みは、昭和にタイムスリップしたかのような癒しの時間です。
昨年末の水口第一・第二浴場の営業終了は衝撃的でしたが、いつまでも残って欲しいと感じる共同浴場です。