伊豆初の「湯雨竹」で理想のお湯を追求!
[静岡県] ホテル 河内屋
今回の温泉探訪記ガイドはこの人
東京生まれ。温泉ソムリエ(マスター)。
交通事故の後遺症のリハビリで湯治を体験し、温泉に目覚める(知床にて、車でヒグマに衝突し頚椎骨折)。現在、総入湯数は1,500以上。
こんにちは。伊豆半島の南端、南伊豆町に湧く下賀茂温泉は、山あいの静かでのどかな温泉地です。同じ伊豆半島の一大観光地、熱海温泉や伊東温泉とは一線を画す雰囲気で、また違った魅力があります。
下賀茂温泉の老舗旅館
今回は、そんな下賀茂温泉の中でも老舗な旅館。「ホテル河内屋」をご紹介します。
温泉街のど真ん中を流れる、青野川のすぐそばに位置するホテル河内屋は、老舗の風格漂う純和風旅館です。立地的にも下賀茂温泉の一等地。格式高そうな旅館ですが、嬉しいことに、意外とお値段はリーズナブルな設定です。
本場別府仕込み「湯雨竹」
「湯雨竹(ゆめたけ)」とは、竹製温泉冷却装置のことで、高温の源泉を竹ぼうきのようなカーテンに通し、一気に冷まし、適温にする優れもの。河内屋の源泉温度は82.8℃と超高温ですが、コレを使えば、高温な源泉を加水で薄めず、湯質と鮮度を保ったまま、源泉100%の湯浴みを楽しめます!源泉が高温で有名な、別府のひょうたん温泉が発祥のもので、伊豆の温泉では初めて導入されたんだそうです。宿の方のお湯へのこだわりが強く感じられます。ちなみに湯雨竹は、全国でも数例しかない、とても珍しいものらしいですよ。
内湯は広々
男女別大浴場は、それぞれ内湯と露天風呂がひとつずつ。内湯は長方形で、一度に20人は入れそうな広々としたつくりです。無駄なものを配置しないシンプルな設えで、シンプルにお湯に集中できます。
泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(等張性弱アルカリ性高温泉)。源泉温度は80℃以上の超高温ですが、湯雨竹のおかげで加水なしの源泉100%かけ流し!しかも熱すぎずぬるすぎない超適温。湯量も豊富で、浴槽下の配湯管から、絶えずお湯があふれ出す、贅沢な湯使いです。無色透明で特徴的な香りはなく、ふわふわとした肌触りがやさしい浴感です。しかし、口に含んでみると塩辛く、一気に苦味が広がり、まるで正露丸をお湯に溶かして飲んだかのような感じです(笑)。湯上りはお肌モチモチ、体もぽかぽかで、なかなか汗が引きません。一見、やさしいお湯ですが、実の引き締まった筋肉質な印象のお湯でした。
南国風露天風呂
露天風呂は、ヤシの木などの植物と大きな岩を配した、南国風なつくりです。南伊豆ということもあり、吹く風もなんとなく暖かです。もちろんこちらのお湯も、加水なしの源泉100%かけ流しでの利用です。のどかな環境の中で、静かに良質なお湯を堪能できる癒しの空間でした。